診療放射線技師として病院やクリニックで働いている方は、医療機関以外の仕事に興味を持ったことはありませんか?例えば、医療機器メーカーなどに転職するというのもひとつの方法です。それでは医療機関以外にどのような仕事があるのでしょうか。診療放射線技師は国家試験を受けてはじめて働くことができます。まずは、診療放射線技師の国家資格を活かせる仕事をみていきましょう。
診療放射線技師が医療機関以外で働ける場所とは?
診療放射線技師は医療機関だけが働く場所ではありません。医薬品や医療機器メーカーなどの他にも、教育や研究をおこなうラボや放射線を扱う原子力発電所など、医療機関に比べては狭き門ですが、技術を活かして働いている診療放射線技師もいます。
医療機器メーカーで働く診療放射線技師はアプリケーションスペシャリストなどの仕事をしています。仕事内容は、医療機関で導入した医療機器の使い方などの説明を行います。他にも、医療機器の保守点検・トラブルシューティング・修理や問い合わせなどにも対応します。外資系の企業では、英語が必要の場合があります。英会話ができるというよりも、マニュアルなどの英文が理解できるレベルが必要です。
医療機器メーカーの場合、経験を重視されることが多いため、新卒の方は難しいかもしれません。将来医療機器メーカーで働いてみたいと思っている方は、総合病院などで知識や経験を積んでから転職を考えてみてはいかがでしょうか。
診療放射線技師がスキルアップするためには
診療放射線技師がスキルアップするためには、CTやMRI検査だけでなく、放射線治療などの知識や経験も必要となっていくでしょう。CTやMRIでは単に撮影するだけでなく、病気の状態がわからなければきれいな写真をとることはできません。診療放射線技師だけでなく、医師が見ても正常なのか異常なのかの判断ができる写真をとる技術が必要となっていきます。
また放射線治療は、がんに効果的な治療のひとつです。放射線治療は、抗がん剤や手術に比べて体を傷つけることがないので、体にやさしい治療といえます。放射線治療は、これからますます増加する見込みなので、診療放射線技師も放射線治療に関する知識や技術が必要となっていくでしょう。
医師が病気の診断や治療法の決定を行う一方、診療放射線技師は医師が作った治療計画にもとづき正確におこない、患者の位置決めや固定具・補助具などを作成することもあります。診療放射線技師は治療だけでなく、医学物理などの分野においても役割を実践しています。
診療放射線技師が必要とされる資格とは
診療放射線技師の仕事のなかで放射線治療を専門にしたいという方は、医学物理士という資格を取るとよいでしょう。医療物理士とは放射線を使った治療が適切に行われるように専門的な知識を持つ資格です。1987年にできた資格で2009年には833名認定されています。
医学物理士の業務は、以下のようになっています。
・放射線治療をもとに医療現場における機器の保守や管理
・放射線診断…医療施設における機器の診断制度の管理や検証
・核医学…医療施設における機器や治療制度の管理や検証
・放射線が人体にどのような影響を及ぼすかなどの放射線防護・安全管理
(参照:医学物理士認定機構「医学物理士について」)
日本では医学物理士の資格取得者が少なく十分な放射線管理ができていません。正確な放射線治療をおこなうためには、ますます必要となる資格です。これから放射線治療に力を入れたいと考えている方は、医学物理士について一度調べてみてはいかがでしょうか。診療放射線技師で医学物理士の資格をもった人を希望する求人も増えています。
診療放射線技師は、医療施設だけでなく医療機器メーカーなどで働いている人もいます。医療施設で働いている方は少し違った環境で働いてみたいと感じる方もいるでしょう。今まで働いた経験を活かしてキャリアアップしたい方は、医療機器メーカーや医学物理士などの資格を活かして違う仕事を選んでみるのもひとつの方法です。特に医療機器メーカーでは経験が求められます。今すぐ転職を考えていない方も一度どういった仕事があるのか調べてみてはいかがでしょうか。