作業環境測定士は、建設現場や工場といった作業場の環境で働く労働者の健康を守るために、有害物質の測定や分析を行う仕事です。しかし、実際にはどんな仕事かわからない人も多いでしょう。
ここでは、作業環境測定士の仕事内容や年収についてお伝えします。
作業環境測定士になるには
作業環境測定士は、作業場で発生している放射性物質や有害物質を測定し、サンプリング調査や分析を行うための国家資格です。鉱工業や建設業を営む企業の依頼を受けて、作業場に有害物質がどれくらい発生しているかを調べます。
有害物質の測定は、作業環境測定士の資格がなければ行うことができません。労働安全衛生法では、有害物質の発生している作業環境が次のように定められています。
- 高温もしくは低温の物質を扱う、高温や低温の作業環境
- 異常な気圧の作業環境
- 有害物質(ヒ素、水銀、硫酸、青酸など)を扱う作業環境
- 鉛やクロム、水銀などのガスや粉じんなどが発生する作業環境
- 強烈な騒音が発生する作業環境
作業環境測定士の種類や仕事内容は?
作業環境測定士には、第1種と第2種があります。第1種を取得すると、次に示すような作業環境を測定する一連の仕事を全て行うことができます。
- 作業環境測定におけるデザイン(測定計画の立案)
- サンプリング(サンプル採取と分析の下準備)
- 簡易測定器を使った分析
第2種では、デザインとサンプリング、簡易測定器を使った簡単な分析のみを行うことができます。作業環境測定士になるには、まず第2種を取得してから第1種を受験という流れになります。
作業環境測定士の受験資格や年収は?
作業環境測定士試験を受けるためには、受験資格を満たさなければなりません。受験資格はとても細かく規定されているので、詳しくは「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」のホームページで確認してください。
診療放射線技師など保持している資格によっては、試験が免除されることもあります。なお、代表的な受験資格は以下の通りです。
- 理系の大学または高等専門学校の卒業者で、実務経験1年以上の人
- 理系以外の大学または高等専門学校の卒業者で、実務経験3年以上の人
- 技術士試験の第2次試験に合格している人
- 労働衛生の実務に8年以上従事した経験がある人
作業環境測定士試験の合格後には指定の登録講習を受講し、安全衛生技術試験協会に登録しなくてはいけません。登録が完了して初めて、作業環境測定士として仕事をすることができます。
作業環境測定士は、企業から依頼を受けて分析業務を行う調査会社、もしくは化学分析を行う研究所・財団法人に所属していることが多いでしょう。実務経験が必要な資格であるため、研究所などで経験を積んでから資格を取得し、調査会社に転職する人もいます。年収は300~400万円程度のところが多く、資格手当はありません。知名度の低い資格であるため、求人は決して多くはないですが、難易度は高く、やりがいのある仕事です。興味がある人は、挑戦してみてはいかがでしょうか。