放射線機器管理士とはどんな仕事?
放射線機器管理士とは、医療機関で診断や治療で扱われる放射線の毒性を理解し放射線を安全にまたは適切に利用するため、質の良い医療サービスを提供するためにできた資格です。診療放射線技師が大学で学んだ危機管理品質管理などの知識をもとに、放射線機器管理士の講習では関係法令や医療施設管理総論医療機器管理総論など、放射線を扱う専門家としてさらに詳しい知識を学ぶために講習を受けます。
1996年からはじまったこの資格は、現在多くの医療機関で診療放射線技師が放射線機器管理士の資格を取得し日々の治療や診断にいかされています。最近では、国際放射線専門技師認定機構により国際認定試験として定められており、海外でもこの資格を活用して働いている人もいます。
放射線機器管理士なるための資格とは
放射線機器管理士になるためには特に資格は必要ありません。ただし認定試験を受験するためには、在宅で eラーニングによる講習を受講した後、認定試験に合格する必要があります。放射線機器管理士を受験するにはインターネットより、JART情報システム内のメニュー「生涯教育・イベントのお申込み」から申し込みます。申し込み期間は年2回あり、平成29年は5月8日(月)~7月18日(火)と平成29年10月2日(月)~12月18日(月)でした。また放射線機器管理士は5年ごとの更新制度となっています更新するには書類審査や eラーニングによる講習のあと、確認試験に合格しなければいけません。放射線機器管理士の資格を取得するのはほとんどの方が診療放射線技師です。
放射線機器管理士取得の難易度は?
放射線機器管理士の資格を取得するための勉強も、難易度がわからないと不安に感じてしまうこともあります。現在までに公表されている情報には難易度(合格率)を知る手掛かりとなるデータがありません。合格率を知るためには、放射線機器管理士受験者数を知らなければなりませんが、残念ながら公表されていないようです。
そこで、合格者一覧の受験番号から、以下の条件で予想してみました。
- 第36回放射線機器管理士認定試験の合格者一覧をデータベースとする
- 受験番号が11001~11080まで、11501~11550までと仮定
- 想定受験者総数 130名
- 合格者数 95名
上記の条件で難易度(合格率)を算出すると73%の合格率となります。実際には、受験番号が切りのいいところまで到達していない可能性も考えると、もう少し合格率は高そうです。合格者一覧の見ても、連番の受験番号が飛んでいないことがわかります。正確性には欠けますが、おおよその難易度が見えてきたのではないでしょうか。
また、勉強方法もeラーニングを基本としたものになっているため、学習内容に大きく差がつくことはなさそうです。認定試験といえ、実務にはなくてはならない知識であり、自分自身を向上させる役立つ資格です。少しでも合格に近づけるように努力あるのみです。
放射線機器管理士認定試験に向けた勉強方法は?
放射線機器管理士認定試験に向けての勉強方法には、e-ラーニングを利用することも方法の一つです。ほかにも国家試験問題で対策を練ったり、講習の資料をしっかり復習したりすることが大切といえます。特にオンライン講習は、ある程度試験内容に沿った内容になっているという実際に試験を受けた方の口コミも見られました。
本格的に対策したいという方は、学生時代の機器工学などの本を使用した勉強方法も悪くはありませんが、少し的が得にくいかもしれません。なかには、放射線機器管理士認定試験が年2回あるのを利用して、1回目をお試し受験にして問題の動向を探るという方もいます。
e-ラーニングでは、進歩状況や結果のフィードバックが即座に確認できますから、間違えやすい箇所を集中的に覚える勉強方法で効率的に学べます。また、音声や動画による勉強方法で、さらに理解度がアップしますから、予習・問題・復習を繰り返して間違いのない知識を身につけられるようにしましょう。
勉強方法も大切ですが、「申し込みをしたのに体調が悪く試験が受けられなかった」などといった事態も避けなければなりません。受験料を無駄にしないためにも、体調管理もしっかり行って試験本番に臨んでください。
放射線機器管理士の年収はどれくらい?
放射線機器管理士の資格を取得した場合、まれに資格手当がプラスされる場合がありますが、ほとんどの場合放射線機器管理士の資格をもっていても診療放射線技師の給料と変わりありません。人事院の統計によると診療放射線技師の平均年齢は47.4歳で、平均月給は約41万円となっています。これは20代から50代の診療放射線技師すべての平均ですので、20代や30代の方は少なくなるでしょう。平均月給から考えて賞与がない場合で計算すると、500万円弱となります。この結果から考えると300万円から400万円台が診療放射線技師として放射線機器管理士の資格を持つ人の年収が予測されます。放射線機器管理士の資格は年収アップというよりも知識を増やすために取得する資格と考える方が多いようです。
放射線機器管理士に転職するには
放射線機器管理士に転職するには、診療放射線技師として転職する方法しかありません。医療機関によれば放射線機器管理士の資格を持っているということで優遇される場合もあります。また、大学病院や総合病院などで働く診療放射線技師は、放射線機器管理士の資格を持っている方も多いため、業務の中で放射線に関して詳しい知識が必要だということがわかります。診療放射線技師の仕事は、画像診断だけでなく放射線治療もおこないます。専門性の高い知識が必要とされる仕事なので、スキルアップを目指すのであればこれからさらに必要となる資格です。現在診療放射線技師として働いている方は、早いうちに資格を取得しておき将来転職するために準備しておきましょう。
放射線機器管理士に転職するメリット
放射線機器管理士に転職するメリットは、診療放射線技師として働いていた方がさらに知識を身につけることができます。診療放射線技師は、医師・看護師などいろいろなコメディカルと一緒に業務をおこなうので、検査が正確でスムーズに患者のために治療を行うためには診療放射線技師の力が必要です。医師が正確な診断をするためにも、診療放射線技師は常に新しい知識や技術を習得することが大切です。診療放射線技師の仕事は医療機関だけではありません。医療機器メーカーや、電力会社で働く人もいます。また、専門的な知識を身に着けることで、海外で活躍している診療放射線技師もいます。可能性を広げるためにも診療放射線技師の技術を身に着けるひとつの方法と考えてみてはいかがでしょうか。