認定輸血検査技師とはどんな仕事?
病気や治療などに必要な輸血を、安全にまたは効率的に行うようにするのが認定輸血検査技師の仕事です。認定医と認定輸血検査技師が輸血を実施する医療機関で働き輸血管理を行っていきます 認定輸血検査技師ができる前までは、医師の責任のもとに輸血業務が行われていました。認定輸血検査技師は、輸血を適切に管理していくことが必要です。認定輸血検査技師の仕事は多岐にわかります。輸血をする前に本当にその患者に輸血の必要があるのか検査をします。
その検査結果により医師は輸血が必要かどうかを判断し必要であれば血液を準備します。準備した血液が患者に適合しているのか検査を行います。検査で問題がなければ患者に輸血し終わった後副作用がないか確認します。このように輸血に問題がないか確認するのも認定輸血検査技師の仕事です。
認定輸血検査技師になるための資格とは
認定血検査技師の制度ができたのは平成7年で日本輸血細胞治療学会、日本臨床衛生検査技師会が始めた認定制度です。認定輸血検査技師は輸血を取り扱う専門業務として働く臨床検査技師のことを言います。
認定輸血検査技師になるには 臨床検査技師の資格が必要で 、基本的に日本輸血細胞治療学会か日本臨床衛生検査技師会、日本臨床検査医学学会会員に3年以上加入していることが条件です。
また、輸血の検査歴が3年以上や、臨床検査技師として他の検査も含めて5年以上の経験を必要とします。また論文や学会発表などにより必要な単位を取得していることも条件とします。認定輸血検査技師の資格を取った後も認定証の有効期限は5年となっているためさらに登録手続きが必要となります。
認定輸血検査技師認定試験に向けた勉強方法
認定輸血検査技師認定試験に向けて勉強をしたい、そう考えても何から手を付けていいかわからないという方も多いでしょう。また、どのように勉強したらよいかわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
認定輸血検査技師認定試験の範囲は「認定輸血検査技師カリキュラム」に記載されています。「Ⅰ認定輸血 技師制度」「Ⅱ輸血医学の歴史」「Ⅲ基礎医学」「Ⅳ輸血と精度管理」「Ⅴ血液製剤(自己血を含む)の適応と管理、供給」「Ⅵ輸血療法」「Ⅶ.輸血副作用とリスクマネジメント」「Ⅷ.血液事業」「Ⅸ.倫理的問題」と大きく9項目に分けられており、認定輸血検査技師としての能力を問われることになります。
テキストを読むなど、古くからの勉強方法ではなかなか覚えるのも難しいかもしれませんが、現在ではe-ラーニングを活用することも可能であり、勉強法も多様化していています。e-ラーニングを活用することにより、覚える事柄のインプットアウトプットが繰り返され、自然に頭に入ってきます。
また、試験には実技科目もあります。筆記試験・実技試験の両方に合格することで認定されたことになります。受験申請をした後3年内に両方の試験に合格しなければなりません。
認定輸血検査技師認定試験の難易度は
認定輸血検査技師認定試験は輸血のプロともいえる資格です。受験者はそう多くはないため、難易度など、あまりわからないという方も多いのではないでしょうか。認定輸血検査技師認定試験の難易度はどれくらいなのでしょうか。第21回(2017年度)認定輸血検査技師試験の結果をもとに考えていきます。
1次試験である筆記試験の受験申請者数305人のうち、実受験者数は290 名でした。結果として、平均点は63.3 点となっています。また、最高点は 86.9 点、最低点は 30.3 点となり、数字に幅がでています。このなかで合格した人の数は127 名となり、合格率 にすると43.8%でした。
また、2次試験である実技試験は申請者164名のすべてが受験、101名が合格しています。平均点は85.1点であり、最高点93.3点、最低点は67.7点となっています。合格率は61.1%であり、実技試験まで進んだ場合は合格率が高くなっています。
一次・二次試験を合わせた総合判定としては. 一次・二次試験総受験者数 335 名、そのうち合格者数は 109 名であり、合格率 は32.5%と約三分の一の方が合格しています。
輸血医学の知識もさることながら、カリキュラムを総合的に学習した結果が合格に結び付くようです。一度で合格に至らなくとも勉強を重ね、合格を勝ち取りましょう。
認定輸血検査技師認定試験の受験申請から合格までの流れ
認定輸血検査技師認定試験の受験の流れは以下のとおりです。まずは、自身が受験資格を満たしているか確認しましょう。申請資格があることが確認できたなら、受入可能研修施設を探します。これは、「受け入れ可能研修施設一覧」から探すことになります。その後、受験申請を行います。新規受験と再受験では受付期間が異なるため注意が必要です。2018年の新規受験の場合は1月10日から31日が受験申請受付期間となっています。また、再受験の場合は2月1日から15日でした。
3月には受験資格審査および、その結果が通知されます。また、その後に、受験有資格者には合同研修会の日時などが連絡されます。そして、4月から6月の間には病院2日、血液センター1日の指定施設での3日間の研修が行われます。その後、2日間の合同研修会と1次試験が行われます。7月には1次試験の結果が通知され、合格者には2次試験の日時の案内も届きます。無事2次試験に合格し認定証が発送されるのは9月か10月になります。
試験の受付から2次試験の合否通知まで、長い時間がかかりますが、合格できたなら歓びもひとしおなのではないでしょうか。認定輸血検査技師認定試験合格に向けて一歩ずつがんばってみてはいかがでしょう。
認定輸血検査技師の年収はどれくらい?
認定輸血検査技師の年収は、臨床検査技師の年収にプラス資格手当がつく場合があります。資格手当は医療機関によって異なりますが、だいたい1万円前後の場合がありますが、何もつかない場合もあります。人事院の資料によると、臨床検査技師の平均年齢は43歳で、平均月額給与は約30万円ほどです。これが全ての臨床検査技師の統計ですので認定輸血検査技師の給与ではありません。
また給与も年齢や医療機関の規模によって異なります。また医療機関によれば認定数検査技師の資格を条件としている場合もあるので、将来転職を希望するのであれば資格を取っておくと良いでしょう。
(参照:人事院統計表 職種別従業員数、平均年齢及び平均支給額)
認定輸血検査技師として転職するには
認定輸血検査技師として転職するには臨床検査技師の資格が必要です。 ほとんどの医療機関では、資格を持っているのが必要条件なっている場合や、認定輸血検査技師の資格を持っている人を優遇しますという募集が多いです。
まずは、臨床検査技師として経験を積んでから認定輸血検査技師の資格を取るという方法もあります。認定輸血検査技師試験は、筆記試験と実技試験からなります。受験を申請した後3年間の間に合格点に達することができれば認定試験を取得することができます。 受験申請の流れは、以下のようになっています。
- 受験を申請する
- 受験資格を審査する
- 受験資格のある人は3日間の研修を受ける
- 2日間の合同研修を受ける(一次試験)
- 二次試験
- 合否判定
認定輸血検査技師に転職するメリット
認定輸血検査技師に転職するメリットは、輸血について正確で安全におこなえる知識を身に着けることができます。輸血について正しい正確な知識を得ることができるため、医療機関で輸血が必要な患者の治療をする場合は、特に優遇される立場になるでしょう。患者に安心して輸血を受けるためには、医師や看護師だけでなく、輸血の専門家が医療機関にいれば、周りの医療従事者も安心して自分の仕事に専念できるはずです。現在さまざまな医療機関や大学で認定輸血検査技師の育成を行っています。
まだまだ、認定輸血検査技師の人数は少ないですが、輸血を専門とした仕事をしたい方は、転職する前に資格をとっておくといいでしょう。