診療放射線技師の仕事現場
診療放射線技師とは、病院や診療所で放射線を用いた治療を専門に行う人のことを指します。
現代の医療現場においては、X線やMRI、CT、エコー検査といった検査が欠かせないものとなっており、診療放射線技師もそのような現場に必要不可欠な存在なのです。
また、放射線はがんの治療にも大きな効果を発揮します。
診療放射線技師は、放射線を使用する病院・診療所・医療機器メーカー・教育機関・研究施設などで勤務することになります。
基本的な勤務時間は、就業場所の規則通りで残業や時間外勤務が特別多いわけではありませんが、病院によっては休日勤務や夜間勤務が必要なところもあります。
医療の現場では、医師や看護師を中心にさまざまな人とコミュニケーションを取らなければいけません。
診療放射線技師は、放射線を扱う技術や放射線の知識はもちろん、コミュニケーション能力も求められます。
診療放射線技師の仕事内容について
以前まで診療放射線技師の仕事は、「画像の撮影だけをする。」などかなり仕事内容が限られていました。
しかし、近年は医療現場の方針も変化しつつあり、放射線を使用する場面も増えて、診療放射線技師が医療現場で関わる範囲が多くなってきています。
診療放射線技師が関わる仕事内容を以下にご紹介します。
◆X線の撮影
X線は、胸部X線検査やレントゲンとも呼ばれ、胸や肺の画像を撮影して病気の有無を調べる検査のことです。
肺はX線を通して黒く映り、炎症や病変などの異常は白っぽく映ります。
肺や心臓、胸部の血管について調べることが可能で、この検査だけでたくさんの情報を得られます。
胸部X線は、肺がん・肺炎・肺結核・気胸・肺気腫・心臓弁膜症・心筋梗塞などの病気の診断に有効です。
◆MRI検査
MRI検査とは、撮影したい部分を輪切りのように撮影して、断面図を見ることができる検査です。
撮影は、磁石が埋め込まれた筒状の機械の中に体を寝かせたまま入って行われます。
体の中でも柔らかい部分の撮影に適しており、脳や血管、卵巣、下腹部といった場所の病変を発見するのに役立ちます。
MRIの導入によって、今までは体を開いてみないと分からなかった病気も見つけられるようになり、医師・患者両方の負担が軽減されています。
◆マンモグラフィ
乳がんの発見に活用される、マンモグラフィも診療放射線技師の仕事のひとつです。
乳房を機械に挟んで圧迫することで、腫瘍があるのか無いのか、ある場合はその大きさや形状を調べます。
また、初期の乳がんによくみられる「石灰化」と言われるカルシウムの沈着物の発見にも有効です。
検査前には技師による触診も必要で、安心して検査を受けてもらうために女性の診療放射線技師が専門で検査を行う病院も増えています。
◆放射線治療
病気の治療に放射線を使用する場合は、診療放射線技師が担当します。
主に「がん」の治療に使われ、病気そのものを除去するために行う場合や病気がそれ以上進行するのを食い止めるために行われる場合があります。
診療放射線技師に必要なこと
放射線はうまく活用すれば病気の検査・治療に非常に役立ちます。
一方で、放射線を扱うという事は常に危険が伴い、少しでも気を抜くと事故につながる恐れもあります。
そのため診療検査技師には、強い責任感と放射線を安全に使用する高い技術、慎重さ、集中力などが求められます。
検査の際は、患者と接することも多く、自分の体について不安を抱いている患者を安心させる心遣いができることも重要です。
新しい医療機器や技術がどんどん増えていくので、医療の進歩についていくやる気と好奇心も必要です。
今後は医療現場だけでなく、さまざまなところで放射線を利用することが予想され、将来的にも需要が増える可能性が高い仕事のひとつです。