健康の維持や回復に欠かせないのが、治療や適切な栄養管理です。病院などで色々な職種が関わり栄養サポートを行うチームをNSTと言います。
NST専門療法士は、他職種と連携しながら患者さんそれぞれに合わせた栄養支援を行うのが仕事です。それでは、NST専門療法士の資格取得方法や具体的な仕事内容を見ていきましょう。
NST専門療法士になるための条件
NST専門療法士(栄養サポートチーム専門療法士)になるためには、NST専門療法士試験を受験し合格しなければなりません。NST専門療法士試験の受験資格を得るためには、以下の三つの条件をすべて満たす必要があります。
1.次の国家資格保持者であり、医療・福祉機関で栄養サポートに携わった経験が5年以上
- 管理栄養士
- 看護師
- 薬剤師
- 臨床検査技師
- 言語聴覚士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 診療放射線技師
- 歯科衛生士
2.日本静脈経腸栄養学会主催の学術学会とセミナーに各1回以上参加し、必須単位数を30以上取得している
3.日本静脈経腸栄養学会の認定教育施設で実地修練研修を40時間修了済
また、NST専門療法士の資格は5年更新です。所定の研修等に参加し、決められた単位数を取得しないと更新できません。
保有資格で異なるNST専門療法士の仕事内容
また、NST専門療法士の仕事は持っている国家資格により仕事内容が違います。各資格による仕事は以下の通りです。
看護師
患者さんの栄養状態を判定し、食事や栄養サポートをします。患者さんへの説明や、点滴・経管栄養の管理、日々の口腔ケアも行います。
薬剤師
点滴に使われる輸液の処方設計を支援し、静脈栄養輸液の調整や栄養療法が、適正に行われるよう管理します。
管理栄養士
不足している栄養量などを計算して、栄養不良の場合は栄養補給方法を計画立案します。食品や調理法を決め、食事形態や舌触りなどへのアドバイスを行います。
歯科衛生士
口腔内の衛生状態を評価し、口腔内の清掃や口腔機能訓練を行います。
臨床検査技師
血液、尿、便などを検査して、栄養状態や消化吸収機能を評価します。栄養サポートが必要な患者さんの抽出や、栄養サポート開始後の効果判定なども行います。
理学療法士
身体を動かすことで体力をつけ、食欲が増進するよう働きかけます。また、食事中の姿勢のアドバイスなども行います。
作業療法士
「食べる」という動作に着目し、食べる姿勢や口に運ぶ動作、そしゃくなど一つ一つの場面ごとに訓練を行います。
言語聴覚士
嚥下機能を評価したうえで、嚥下訓練を行います。食事形態のアドバイスや、口腔内清掃の指導や実施も行います。
NST専門療法士が活躍できる場所は?
NST専門療法士が活躍するのは、主にNSTチームのある病院や福祉施設です。NST専門療法士の求人はないものの、栄養サポートの専門知識があることを証明できるため、病院や福祉施設への転職では大変有利になります。
ただし、資格手当はほとんどありません。そのため、年収は保持している国家資格の年収と同等となるでしょう。
栄養管理は、現代医療では欠かせない業務の一つです。栄養管理に興味がある人は、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。