放射線取扱主任者とは、放射線を使用する現場で放射線の管理を行うための難易度の比較的高い国家資格です。福島の原発事故以降、国民の放射線への関心が高まったことで注目されている資格の一つです。
しかし、実際にどのような仕事をするのか、診療放射線技師との違いがわからない人も多いのではないでしょうか。ここでは、放射線取扱主任者の仕事内容や活躍の場所などを紹介します。
放射線取扱主任者の仕事について
放射線取扱主任者は、放射線障害防止法に基づいた国家資格の一つで、放射線を取り扱う現場において、放射線による障害が起きないよう監督をするのが主な仕事です。精密機械メーカーや病院などでは、放射線設備の管理や修理も行うことが多いでしょう。また、新製品の開発をする場合もあります。
放射線の取り扱いには細心の注意が必要なため、放射線を使う事業所では1人以上の放射線取扱主任者を選出する義務があります。
放射線取扱主任者になるには
放射線取扱主任者には、第一種から第三種までの3種類があります。第三種は2日間の講習のみで取得することができ、18歳以上であれば誰でも受講することが可能です。第一種と第二種は放射線取扱主任者試験に合格しなくてはいけません。受験資格は以下の通りで、原子力安全技術センターにて受験することができます。
- 第一種:第二種試験合格者
- 第二種:第三種試験合格者
合格率は第一種、第二種共に約30%となっています。なお、試験に合格しただけでは放射線取扱主任者として働くことはできません。合格後に講習を受け、修了試験に合格した者だけが免許の交付をしてもらえます。ちなみに、講習期間は第二種で3日間、第一種は5日間です。
放射線取扱主任者資格は転職にも有利?
放射線取扱主任者は、放射線を発生する装置を扱う事業所や販売所、廃棄事業所などが就職先となります。また、病院や研究機関、製造業などで働く人も多いでしょう。
年収は業種によって違いがあるものの、400~700万円程度となっています。放射線を取り扱う職場は多種多様で、さまざまな業種の求人があります。
また、放射線取扱主任者の資格を持っていると、以下の資格免許を無試験で交付してもらうことができます。
- エックス線作業主任者(第一種放射線取扱主任者のみ)
- ガンマ線透過写真撮影作業主任者(第一種および第二種放射線取扱主任者)
さらに、第一種放射線取扱主任者の資格免許を持ち、実際に職場で第一種放射線取扱主任者として選任されている場合には、第一種および第二種作業環境測定士の共通科目と第一種の選択科目の一部が免除となっています。
このように、放射線取扱主任者の資格は、関連性のある別の資格免許を取得できるため、転職にも有利な資格と言えるでしょう。第三種は誰でも受講することができるので、興味がある人はぜひ、放射線取扱主任者の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。