病院での検査を行う資格と言えば「臨床検査技師」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。実は、採血などの検査を行う資格には「衛生検査技師」もあります。しかし、衛生検査技師は2005年に資格が廃止され、2011年度をもって新規免許の交付もできなくなりました。この記事では、衛生検査技師の仕事内容や廃止の背景についてお伝えします。
衛生検査技師ってどんな仕事?
衛生検査技師は、病院などの医療機関で採血などから検査を行う医療技術職です。同様に検査を行う臨床検査技師と同じく、国家資格となっています。
衛生検査技師は医師の指導監督のもと、以下の検査を行うことができます。
- 微生物学的検査
- 血清学的検査
- 血液学的検査
- 病理学的検査
- 寄生虫学的検査
- 生化学的検査
衛生検査技師と臨床検査技師との違いは?
衛生検査技師の資格は、2005年に「臨床検査技師、衛生検査技師等に関わる法律」が一部改正され、資格としては廃止されることになりました。廃止された背景には、衛生検査技師と臨床検査技師の仕事の多くが重複していることにあります。両者の違いは、診療の補助としての採血と厚生労働省令で定める生理学的検査は臨床検査技師だけが行うことができる点だけです。
また、2011年3月までは以下の者は申請すれば無試験で衛生検査技師の資格を得ることができました。
- 大学において医学、歯学、獣医学、薬学、保健衛生学の課程を修めて卒業した者
- 医師、歯科医師、獣医師、薬剤師
- 大学において厚生労働大臣の指定する科目を修めて卒業した者
- 外国の医学校、歯科医学科、獣医学校、薬学校を卒業した者
- 外国で医師免許、歯科医師免許、獣医師免許若しくは薬剤師免許を受けた者
しかし、この無試験での資格取得については、日本臨床検査技師連盟がたびたび廃止を訴えていたこともあり、2005年の法改正の際に無試験での資格取得も2011年をもって廃止となりました。
衛生検査技師の気になる年収は?
現時点で衛生検査技師の資格を取得している人は、法改正後も継続して衛生検査技師として働き続けることができます。資格が廃止されて年数がまだ浅いため、求人も数多くあります。しかし、今後は臨床検査技師の求人が主流となっていくことが予想されるため、求人数は減ってくるでしょう。
また、年収も衛生検査技師は300~500万円ほどですが、臨床検査技師は500万円前後と少し高くなっています。現時点では、衛生検査技師の資格が転職に不利に働くことはありません。しかし、これから検査の仕事に関わりたいという人にとっては、臨床検査技師資格を取得するしか方法はないでしょう。