放射線を使用した検査に携わり、医療機関において重要な役割を担っている「診療放射線技師」。働く上で必須の国家資格に加えて、より専門性の高い資格を取得すると、就職や待遇面で有利になります。こちらでは、そんな診療放射線技師という職種を、仕事内容や給与の面からご紹介します。医療チームの一員として働くやりがいのある仕事についての情報を、ぜひ参考にしてみてください。
診療放射線技師の仕事とは?
レントゲン撮影
診療放射線技師の仕事は、医療現場で放射線を使用した検査を行い、医師の診断に役立てることです。たとえば一般的によく知られている検査として、レントゲン撮影があります。現場では、どの角度でレントゲン撮影をすれば患部が的確に写るのかをすみやかに判断するとともに、正確に撮影を行う技術が求められます。
また、女性が定期的に受ける乳がん検診の方法のひとつである「マンモグラフィ」も、診療放射線技師が検査を行っています。検査を受けるのは女性であるため、同性である女性の診療放射線技師の活躍が期待されており、今後ますます需要が高まっていくと考えられています。
放射線治療
医師の指示に従って放射線メスを用いた放射線治療を行うのも、大切な仕事内容のひとつです。がん治療の現場においても、診療放射線技師が活躍しています。実際に患者の治療にあたる診療放射線技師として働くためには、国家資格が必須となります。資格取得により知識を身につけておくのはもちろんのこと、医療チームを支えるために豊富な実務経験が欠かせません。
診療放射線技師に求められる素質
診療放射線技師は、医療機器による検査や治療を行う仕事であるため、機械の操作に慣れている方のほうが仕事を身につけやすいと考えられます。また、正確な検査データを出したり治療を行ったりするために、根気強く緻密にものごとに取り組む性質がなくてはなりません。加えて、医療チームの一員として医師や看護師をはじめとしたスタッフと協力し、チームワークを発揮する力も求められます。
診療放射線技師の年収相場
年齢ごとの診療放射線技師の平均年収
診療放射線技師の平均年収は、20代では400万円台となっており、一般的な社会人の年収とほぼ同等となっています。その後の年齢に応じた推移は、30代の時点で500万円台、40代の時点で600万円台です。勤続年数によって安定した昇給があり、ほかの業界と比べても平均的な年収だと言えるでしょう。現在、診療放射線技師は徐々に求人数が増えつつある状況にあるため、今後はより待遇が高まっていくのではないかと考えられています。
施設規模による診療放射線技師の月収の差
診療放射線技師の平均月収は、就職先の医療機関の規模によって異なります。たとえば、従業員数が10~99人の比較的小規模な施設では、35~39歳の月収平均は35.7万円です。それに対して、従業員数が100~999人の大規模な施設になると、35~39歳の平均月収が36.1万円とやや高まります。ただし、所定労働時間や超過実労働時間は施設によって異なるため、就職前に確認しておきましょう。
診療放射線技師のボーナス
診療放射線技師として医療機関に勤務すると、一般的にはボーナスが期待できます。ただし、その金額は施設によって異なり、就職先によっては賞与の金額アップが難しいこともあるようです。診療放射線技師は収入の安定した職種であり、就職先を選べばボーナスにも期待ができるようになります。賞与は年収にも大きく関わるため、幅広く求人情報を集めて比較検討してみてください。
診療放射線技師の年収には地域差がある?
診療放射線技師の給与の地域差
診療放射線技師の給与は、地域により大きく差が出る場合があります。もっとも多いところでは、都心部と地方で10万円近く月収に差が出るケースもあるようです。とはいえ、平均物価の高い都心部では地方よりも生活費が高くつくため、最終的には手取りの金額にはそれほどの差がないとも言われています。
また、都心部にある大規模な医療施設は、患者数が非常に多いため業務内容も必然的に多くなり、診療放射線技師をはじめとしたスタッフの残業も多くなります。そのため、残業代を含めて給与がより高くなるという側面もあるようです。
女性診療放射線技師の出産育児
女性の社会進出が当たり前になった昨今では、さまざまな業界において、出産や育児にともなう仕事のブランクが問題視されるようになってきました。無事に子どもが生まれて職場への復帰を検討している女性も、託児所や保育園などの事情から、なかなか仕事へ戻れない状況が増えつつあるようです。診療放射線技師のキャリアにおいても、ブランクがその後の年収と関係することがあります。託児所が完備された施設に勤務するなど、育児と仕事の両立ができる環境への就職を検討してみましょう。
キャリアアップを目指した就職活動をしよう
診療放射線技師として働くとき、もちろん年収も就職先を決めるための大切な条件ではありますが、それに加えてご自身のキャリアアップについても考慮しておくことをおすすめします。たとえば、最新の検査機器が導入されている医療機関で実務経験を積むと、診療放射線技師としてのスキルが高められます。その職場ではどのような経験が積めるのか、どのようなスキルを身につけられるのかを調査し、診療放射線技師としてのキャリアアップにお役立てください。
放射線手当や夜勤手当で収入アップ
放射線手当で収入アップ
診療放射線技師の業務では、危険度の高い放射線を利用して、患者の体の状態を検査します。そのため、ほかの職種にはない「放射線手当」「危険手当」「特殊業務手当」と呼ばれる手当が給与に加算されることがあります。手当の有無によって年収に差が開く場合があるため、どのような加算があるのかについては就職面接の際などに確認しておくと安心です。
夜勤手当で収入アップ
勤務する医療機関に病床があるときや、急患を受け入れているときは、診療放射線技師にも夜勤手当や当直手当が加算されます。仕事の責任が重く、帰宅時間も不安定になるかもしれませんが、年収アップを期待できるでしょう。その一方で、規模の小さな医療機関など、病床がない施設にはこれらの手当がなくなります。ご自身のキャリアに合わせて働き方を選択してください。
収入アップが期待できる資格
診療放射線技師は、業務と関連性の深い専門資格を取得することで、さらなる収入アップが期待できるようになります。また、採用時に資格取得者を優遇する施設もあるため、将来的に転職を検討することを考慮しても、資格を取得しておいて損はないと言えるでしょう。ここでは、診療放射線技師の国家資格と合わせて取得される専門資格の一例をご紹介します。
- 「検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師」:乳がん検診に特化した専門資格で、都心部や地方を問わず資格取得者の需要が高いと言われています。
- 「磁気共鳴専門技術者」:検査機器のMRIを取り扱うための認定資格です。資格取得者が検査にあたることが、医療機関の信頼につながります。
- 「超音波検査士」:エコー検査の認定資格です。超音波検査では放射線が使われないものの、診療放射線技師が取得しておくと有利になります。
このほかにも、日本放射線技師会が提供している「放射線機器管理士」や「放射線管理士」の認定資格もよく知られています。これらの資格は、診療放射線技師の業務そのものに関連するものです。
医療技術は日々めざましい進化を遂げているため、資格取得のために勉強を続ける姿勢は、現場で活躍する際にも役立つでしょう。診療放射線技師としての就職を検討されている方は、これらの資格取得によりキャリアアップを目指してみてください。