医師が患者の病状を判断したり治療方針を決めたりする時に、なくてはならないのが診療放射線技師の行う放射線を利用した様々な検査です。
レントゲン写真の撮影をはじめ、X線やエコーなどの検査により患者の状態を正確に判断することができます。
診療放射線技師の仕事は裏方の仕事のように思われがちですが、MRI検査の資格など専門的な資格を取得しながらキャリアアップを目指すこともできることから、医療の現場において今後も需要が高まっていくことが期待されています。
診療放射線技師になるために…大学と専門学校の違い
診療放射線技師になるためには、高校を卒業後に4年制大学もしくは3年制の専門学校および短期大学を修了し、診療放射線技師国家試験に合格しなければなりません。
試験の合格率を見ていくと、大学と専門学校の卒業者を比べても国家試験の合格率が大幅に変わるということはほとんどないと言えます。
例年、診療放射線技師国家試験には約2500人~3000人の受験者がいますが、合格率は平均約7割となっていて、その7うち約9割が新卒者というデータが出ています。これは、大学・専門学校ともに学校を卒業と同時にストレートで国家試験に合格する人が多い結果だと言えます。
しかし、ひとつ注意すべき点があります。それは診療放射線技師国家試験に合格していなければ、就職の内定があったとしても取り消しになる可能性もあるという点です。
試験の難易度としてはそこまで高い分野ではありませんので、しっかりと対策を行えば、合格できる可能性が高いと言えます。
臨床検査技師になるために…専門学校は実習重視!
診療放射線技師を専門的に育てる専門学校ですので、授業の内容も実践に即しており実習の内容も充実しています。
入学から3年で卒業・合格すれば最短で社会に出て即戦力として働けるので、就職面で見ると有利な場面が多いこともありますし、専門学校卒業の生徒を積極的に採用している病院もあるほどです。
しかし、初任給を見てみると4年制大学の既卒者より若干少なくなる方が多くなりますが、年齢別でみると変わるので、給与の面ではそこまで大きな違いはないと言えます。
もちろん、昇進・昇給などは4年制大学の既卒者のほうが好条件になることが多い上に、役職者を希望する方や、年齢が上がった際にある程度の給与が欲しいと考えている方は、違いが出るということを予め覚えておく必要があります。
また、転職活動においても別分野で活躍をしたいと考えたときに、新しい仕事に就職するのが4年制大学の既卒者と比べて難しくなる可能性があります。
診療放射線技師になるために…大学を選択するメリット
専門学校は比較的入学しやすいと言われていますが、大学でも特に国立を選択する場合、センター試験の5教科受験が必要になるため、入学するのは簡単ではないと言えます。
しかし、入学費用は専門学校に比べるとかなり安くなるので、受験者は毎年多くいます。
大学では4年間全て診療放射線技師の勉強をするわけではありません。1年目は一般教養、2年目には専門分野など、様々な分野の授業が選択できるのが特徴です。同じ診療放射線技師でもさらに専門分野で分かれて勉強できるなど、専門性を高めていきたい方には合っているでしょう。
さらに勉強を続けたいという場合には、更に大学院に進学するという方もいるほどです。
就職面で見ると、初任給は専門学校よりも高くなる場合が多く見られます。さらに昇給・昇進でも4年制大学の既卒は有利と言われているので、キャリアを考えている人にとっては大学での進学は必要不可欠だと言えるでしょう。
診療放射線技師になるためには、専門学校または大学を修了後、診療放射線技師国家試験に合格しなければ働くことは認められません。
最近では、ガン患者の早期発見・早期治療を目的とした高度な放射線治療ができる技師が求められているので、診療放射線技師として専門的な資格の取得者が望まれています。
患者を直接診察することはありませんが、様々な観点から検査を行い医師の診察を陰ながらサポートすることができるよう、日々進歩していく医療の分野においてなくてはならない存在となっていくことでしょう。
そして専門性を高めることが患者の命に係わる重大な仕事となり、自身の活躍の場を広げることにも繋がっていきます。