診療放射線技師は、医療現場で多くの高齢者の方と接する機会が増えます。大学や専門学校で学んだ知識だけでは、なかなか難しい場面にも直面するかもしれません。これからの高齢化社会において、診療放射線技師がどのように必要となってくるのでしょうか。
診療放射線技師が医療施設などで欠かせない理由やこれから必要となるスキルについてご紹介します。
診療放射線技師がこれから必要となる仕事内容は?
診療放射線技師は、健康診断などで検査をおこない、医師の指示に元放射線を使った検査や治療をおこないます。かつてはこのような治療や検査は医師がおこなっていましたが、医療の進歩により高度な技術や知識が必要となったため、放射線の専門家である診療放射線技師という資格ができました。
診療放射線技師は、医師や看護師などともに患者の病気を早期発見し日々サポートします。それぞれの専門分野を活かし、お互い意見を交換しながら治療をおこなっています。そのためチーム医療という考え方が欠かせません。それぞれの役割を意識しながら、診療放射線技師は検査や治療をおこなっていくことが大切になるでしょう。
これから専門的な知識を増やしていくためにも、診療放射線技師は日本診療放射線技師会などがおこなっている認定資格などの取得も必要となってくるでしょう。また、知識だけではなくどのように患者に安心して検査を受けてもらえるかといったことについても日々努力が必要になります。
高齢化社会で診療放射線技師は何が求められるか?
病院では、年々高齢の方が訪れる割合が増え、病院では多くの方が高齢者と接する機会が増えています。診療放射線技師も検査や治療で毎日対応することがあるでしょう。特に認知症などの疑いがある方は、検査が難しいことがあります。
例えば、自分が認知症だと認めたくない方や、気分に波があるという方も多いからです。そこで診療放射線技師は、患者の気持ちに寄り添い少しでも不安な気持ちをなくすことを心がけながら対応していくことが必要です。
また、基本的な接遇は特に注意が必要です。事務的で冷たいと感じる対応や、雑な言葉遣い、笑顔やあいさつができないなどについても気をつけておくことが必要です。一般的な社会人としてのマナーはもちろん、診療放射線技師の専門家として患者の気持ちを理解し、今どんな気持ちなのか、体調はどうなのか、またこちらから一方的に話をするのではなく、患者の声に耳を傾けるといったことも必要です。特に高齢の方は、難しい専門用語は理解できない場合もあります。その人の状況に合わせて対応していく力も必要となっていくでしょう。
これからは検査だけでなく治療に携わることが増える
診療放射線技師はCTやMRIなどの検査をおこなうだけではありません。高齢者の方は、多くの病気を抱えている方が多く、「がん」もその病気のひとつです。高齢者の方の場合、体力を考えて、外科的治療ではなく比較的体にやさしい放射線治療を受けることが多くなります。
手術や化学療法といった治療と比べて、体に負担が少ないので高齢者の方でも治療できる場合があります。また、放射線治療は初期だけでなく、痛みを抑えるための緩和治療などでも使用できます。診療放射線技師は放射線治療を行っている間も常に患者を見守らなければいけません。
患者が肉体的・精神的に何も問題がないのか、また安全に治療を受けられているかなども確認します。また、治療の手順に関しても、わかりやすく丁寧に説明しなくてはいけません。基本的な治療の決定は医師が行いますが、診療放射線技師は自分のおこなった行動にも責任を持たなくてはいけません。
高齢化社会の中で、診療放射線技師が欠かせない理由は専門的な知識だけでなく、患者に対していかに専門的な知識の元安心に治療を行い、少しでも不安を少なくすることが必要なのかということがわかっていただけたのではないでしょうか。
専門的な知識を持つ診療放射線技師は、医療機関になくてはならない存在です。これからますます広がっていく高齢化社会に向けて日々努力が必要となってくるでしょう。