手術関連専門臨床工学技士とは
手術関連専門臨床工学技士は、平成28年にできた新しい資格です。
この資格は、手術周りにおける専門知識や技術の向上・安全を確保するためにできました。臨床工学技士は手術室に入り、医療機器の管理をすることも多く、これからますます必要となる資格でしょう。
この資格では、手術中のナビゲーション方法や麻酔中のモニタリングなどの他に、無影灯・手術台など手術で使われる装置についても詳しく学ぶことができます。また、臨床工学技士だけでなく、看護師など医療従事者も受講するので、手術に携わる方には特に役立つ知識や技術を身に着けることができるでしょう。
この資格はまだ1回しか試験が行われていませんが、多くの方が受講していることから、手術中に関する知識の重要性がさらに見直されていることがよく分かりました。
手術関連専門臨床工学技士の難易度
平成29年に行われた第一回手術関連専門臨床工学技士の試験は、合格率が9.3%とかなり低いものでした。過去の問題も分からないことから、試験内容を把握するのが難しかったことも一つの理由でしょう。
それでは、この試験の受験資格や認定要件について説明します。
受験資格
- 医療資格を持っているもの
- 平成28年か29年に手術関連指定講習会を受講しているもの
が条件となっています。
また、認定要件を満たしていないと合格証や合格カードの交付が行われません。
認定要件
- 医療資格を持っているもの
- 認定を申請した年から連続して5年間、正会員であり会費を払っていること。
- 認定を申請した前年度から5年間に1回以上日本臨床工学会に参加し、定められた取得単位のうち50単位以上取得していること
- 手術関連の業務を5年以上の実務経験があり、現在もその業務に従事していること
上記の要件が定められています。
試験に合格しても、認定要件を満たしていなければ、合格証や合格カードを発行することはできません。
手術関連専門臨床工学技士の合格率
平成29年度に行われた1回手術関連専門臨床工学検定試験の受験者数は172名で、合格者数は16名でした。また、合格率は9.3%とかなり低くなっています。
それでは、手術関連専門臨床工学技士の試験について説明します。
第2回手術関連専門臨床工学技士の試験は、平成30年3月4日に行われる予定です。試験会場は東京大学で、試験受付時間は9時から始まります。そして、試験の終了予定時刻は14時30分です。
試験方法は、マークシートによる五者択一方式で、午前・午後各90分で60問出題されます。
申し込みは、日本臨床工学技士会会員情報システムe―プレバドよりオンラインで行えます。合格発表については、試験会場かホームページで受験番号が掲載されることがあります。
手術関連専門臨床工学技士の勉強方法
手術関連専門臨床工学技士の勉強は、指定講習会で行われる講習やテキストを参考に行います。
この講習会は、臨床工学技士だけでなく看護師などの医療従事者も受講します。また、手術関連専門臨床工学検定試験に関しては、実講習だけでなくe―ラーニングを併用することも可能となっています。
詳しいプログラムの内容に関しては、以下の通りです。
第1日目
- 外科概論・安全管理・事故対策
- 手術感染防止
- 清潔と不潔の概念
- 整形外科手術・ナビゲーション
- 脳神経外科手術・ナビゲーション
- 手術情報管理・物品管理
第2日目
- 麻酔概論
- 麻酔中のモニタリング
- 麻酔器・レーザー・超音波手術装置
- 超音波メス・電気メス
- 術中誘発電位
- 無影灯・手術台・回収式自己血輸血装置
- 眼科用手術装置
- 災害対策
第3日目
- 内視鏡手術装置の構成
- 内視鏡手術について
- 手術支援ロボット
- 手術におけるチーム医療
- 手術顕微鏡・画像
- 設備
- 関連法規
手術関連専門臨床工学技士の講習会とは
手術関連専門臨床工学検定試験の資格を取得するには、指定講習会を受講しなければなりません。受講料は以下の通りです。
正会員:30,000円(実講習のみ)45,000円(実講習+eラーニング)
非会員:40,000円(実講習のみ)60,000円(実講習+eラーニング)
eラーニングの受講期間は、11月1日(水)~11月30日(木)となっていました。
また、受講者の定員は150名となっており、定員に達したら受講申し込みを締め切ります。
手術関連専門臨床工学技士については、二つの方法の実講習+eラーニングの併用などの申し込み方法があるため、どちらも申し込んでいる方は、どちらかの講義が終わった時点で修了証が発行されます。ただし、受験資格があっても、認定要件に達していない場合、合格証は発行されないので注意しましょう。