医師が患者の診察・治療を行っていく上で欠かせない臨床検査技師の仕事。
かつては医師自身が行っていた検体検査や生理機能検査を専門化し、国家資格保有者を輩出することで、より多くの患者が検査および治療をする機会が増えるよう期待されている分野です。
複数の医療の専門職が集まり、多角的に患者の診察や治療をスピーディに行っていくために、臨床検査技師はこれからも需要が高まっていくことが予想されています。
それでは、臨床検査技師になるための国家試験についてまとめてみましょう。
臨床検査技師国家試験の内容と試験地について
毎年、2月に行われる臨床検査技師国家試験。
試験が行われるのは北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県です。
誰でも受験できるわけではなく、文部科学大臣指定の大学または専門学校において臨床検査技師国家資格受験に必要な知識と技能を3年以上履修した人のみにその資格があります。
例外を除き、試験科目は全10科目です。
- 医用工学概論(情報科学概論および検査機器総論を含む)
- 公衆衛生学(関係法規を含む)
- 臨床検査医学総論(臨床医学総論および医学概論を含む)
- 臨床検査総論(検査管理総論および医動物学を含む)
- 病理組織細胞学
- 臨床生理学
- 臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む)
- 臨床血液学
- 臨床微生物学
- 臨床免疫学
試験は丸一日がかりで行われ、午前100問・午後100問からなる構成となっています。
持ち物はHB鉛筆、プラスチック消しゴム、黒のボールペンのみで、シャープペンシルや携帯電話などメールの送受信が可能なものは利用不可能です。
マスクは許可されていますが、試験開始前に不正はないか試験管より確認を受けておかなければなりません。
臨床検査技師国家試験の受験者や合格率は?
診療放射線技師国家試験の合格基準は決まっておらず、毎年合格発表後に行われることになっていますが、200問中120問以下の正解率であるとその時点で不合格とされてしまうので注意が必要です。
試験は2月に行われ1年に1回しかないので、不合格による就職の内定取り消しなどがないよう、十分な準備をして挑むようにしてください。
この10年で診療放射線技師国家試験の受験者は増加推移しており、毎年4000人前後の受験者数となっています。
合格率は毎年約70%~80%になることがほとんどです。看護師の合格率である約90%に比べると必ず受かるというような難易度の国家試験ではないのですが、講義をきちんと受け、国家試験対策をしておけば難易度はそこまで高くないと言えるでしょう。
合格発表は試験の翌月の3月下旬に行われ、厚生労働省および各地の臨床検査技師国家試験臨時事務所にて受験地また受験番号を掲載して発表となります。
臨床検査技師国家試験の受験に際して
受験の関する手続きは12月中旬から1月の初旬に臨床検査技師国家試験臨時事務所に書類を提出する必要があります。
その日程については、随時確認するようにしましょう。
尚、受験料は11,300円となります。
その他の不明な点などは在籍している学校や厚生労働省が定める臨床検査技師国家試験の情報にて詳細を得る必要があります。
毎年輩出される合格者の中でも、大学および専門学校の新卒者が9割を占める傾向にあり、働きながらキャリアアップのために資格の取得を目指す人や、全く違う分野からの転職を目指す人が1割程度というデータとなっています。
受験に関しては校内の試験により、国家試験を受けるレベルかどうか厳しくチェックし、受験者を絞った上で合格率100%を打ち出している学校も中にはあるほどです。学校を選ぶ段階で生徒数や受験者数を考慮した上でその学校の本来の合格率を確認しながら検討するようにしましょう。
国家試験の合格者の多くが専門学校または大学の新卒者であることから、ストレートで試験に合格しておかないと難易度が上がる傾向にあることがわかります。
そして資格を取得することが最終目的ではなく、医療の現場で医師の右腕となるべく的確に患者の状態を把握し、医師と同じ目線で診断できる臨床検査技師の育成が求められています。
緊急オペのために急きょ検体検査を行わなければならないこともありますし、その正確性と専門性は年々より高度なものが求められるようになってきました。
そして、自分のスキルを高めることが患者の命や健康に大きく関わることになるという自覚を持つことが大切です。