臨床検査技師の就職先は飽和状態となり就職難であるといわれています。そんな状況であっても大学を卒業したあとに、大学院に進学する臨床検査技師もいます。今のところ、大学院を卒業するよりも大学卒の方が就職は有利だといえるでしょう。
それでは、なぜ臨床検査技師の国家試験に合格しているのに、大学院に進むのでしょうか。大学院に進むのはどんな人が多いのか、またどんなことを学ぶのかなど紹介していきます。
臨床検査技師として大学院に進む人がいるのはなぜ?
臨床検査技師は、大学を卒業し資格取得をするとほとんどの人が医療機関に就職をします。病院などでは、ほとんどの場合即戦力を求めれられますが、新卒の場合国家試験に合格しても、現場ですぐに仕事ができるのは難しいです。ほとんどの場合、一人で検査できるようになるまで数年かかるといわれています。
また、臨床検査技師は検体検査だけでなく、採血など患者に直接接する仕事もあります。このような仕事は、数多く経験しないとなかなか上達しないことも考えられるため、医療機関では、できるだけ早く現場で慣れて欲しいといえます。医療機関で働くのであれば、国家資格さえ合格すれば大学卒の方が有利でしょう。
では、なぜ大学院に進む臨床検査技師がいるのでしょうか。大学院に進む臨床検査技師のほとんどは、病院の現場で働きたいのではなく、研究などをおこなう一般企業に進む人が多いようです。大学院で研究したことを活かして一般企業で働きたいという人が多いのでしょう。
臨床検査技師は大学院でどのようなことを学ぶ?
大学院に進学を決める理由はさまざまです。臨床検査技師が現場で直面するいろいろな問題に対してもっと研究してみたいという方や、病院など現場だけで働くだけではなく、病気で苦しんでいる人のために研究をしたいという方です。研究をすることで、現場でどんな技術が必要とされているか知ることができ、また自分の興味のある分野を追及していくことも可能です。
また大学院では、大学時代とは違い自分の意志で研究をおこなうこともできます。研究はすぐに成果がでるものではありません。日々の小さな積み重ねが将来病気で困っている方に役立てることがあります。ですので、臨床とは違い目に見えて成果が出にくいこともあります。
このように、臨床検査技師としていろいろな研究をしてみたいという方には、大学院進学はおすすめです。4年生大学在学中には経験できない研究に没頭することができるからです。
また、大学院でおこなう研究は大学時代に勉強した知識を活かすことができます。研究をおこなって博士号を取得し、国内だけではなく海外で働く臨床検査技師もいます。
大学院を卒業した臨床検査技師がこれから必要になるスキルとは
大学院では、大学で学んだ基本的な知識が必要になります。大学時代に学んだ知識をもとに研究を行っていくので、基本的な知識が抜けていれば、苦労することも考えられます。また、いろいろな文献を読んで、研究をすすめることが多くなります。そのため英語の読解力が必要になります。日本だけでなく、海外における論文などが読めるように、大学のころから日常的に英語の文献を読んでいくことも大切でしょう。
これから大学院に入り研究を目指すといっても、多くの医療関係者と仕事を一緒に行います。大学病院で研究する方、一般企業で研究する方など働く場所は様々ですが、臨床検査技師だけでなく、医師や看護師などといった医療職の方ともコミュニケーションをとっていくスキルも必要です。
また自分の専門分野ができたとき、いろんな情報を得るためにも人間関係を築くことが必要となってくるでしょう。毎日自分の研究分野だけでなく、多くの人と一緒に研究することで視野が広がることもあります。
大学院に進学する臨床検査技師は、臨床というよりも研究に重点をおいているということがわかっていただけたでしょうか。もちろん大学院に進学しても、病院などの医療機関に就職する人もいます。大学で得た知識をもっと深めるために大学院に進学する人もいるでしょう。これから臨床検査技師を目指す人は、将来どのような仕事に就きたいか今から考えておいた方が良いでしょう。