臨床工学技士の仕事について
病院やクリニックで生命維持管理装置の操作および保守点検を行う臨床工学技士。医学はもとより、機械に関する工学的な知識も必要となる医療の専門職です。勤務病院の中でも、病棟が違えば置いてある機械も全く違うものとなり、求められる専門分野も大きく違ってきます。
生活習慣病が国民病となり、人工透析を必要としている患者の数は昔よりも圧倒的に増加している中、人工透析センターのような施設では安定して求人があります。24時間体制の大規模な病院では、手術室で人工呼吸器の操作や心臓カテーテル検査に関連する業務が求められ、救急の患者の手術に立ち会うために夜勤や当直、オンコールなどで対応することもあります。
手術中の患者の状態を把握するためのポリグラフを見ながら、手術の補佐的な役割を果たすので、「チーム医療」においても重要な役割を任されるのが臨床工学技士です。
臨床工学技士の勤務病院種類別メリット・デメリット徹底比較
透析クリニック
人工透析の臨床業務およびそれに関連する機器の管理業務を行います。クリニックによっては透析を行う回数が、午前のみ、午前と午後、午前・午後・夜間などパターン化されており、オーバーナイト透析を行っているクリニックでは勤務形態も交代制で細かく管理されています。夜の通し勤務や夜勤などが組み込まれると、その分給与にも手当として反映されるので年収の水準も上がりますし、体力的・精神的にタフさが求められます。
同じ臨床工学技士でも、透析クリニックからオペ重視の総合病院に転職するとなると専門分野がかけ離れてしまうので、転職先としては他の透析クリニックや医療機器メーカーなどが主流になるようです。
子育て中の女性が勤務形態の縮小を希望して日中のみの透析を行っているクリニックへ転職を希望する場合もあります。病院やクリニックに託児所が無いと、保育園などに預ける必要がありますので、必然的に働く時間が制限されるからです。
病院
救急のあるような大きな総合病医院が勤務病院になると、手術室において医療機器全般の管理やメンテナンス業務が中心となります。予定に組み込まれている手術に加えて、集中治療室での緊急オペが入ることも多々ありますので、拘束時間が長くなりハードになる分、年収もアップします。
手術中には医師のオペに従い、患者のバイタルなどを正確に伝えていく必要があり、広い視野と冷静な判断力が必要とされます。何より大きな病院で先進的な医療を学び、実践で技術を身につけたい方が向いているでしょう。
療養が中心の小規模な病院
緊急オペなどが入ることもなく、勤務形態も定時制が多いのでワークライフバランスを重視しやすいです。夜勤などがないので年収面での大幅アップは望めませんが、臨床工学技士としての平均的な年収の水準は安定しています。
一般企業への就職
医療の経験と工学的な知識を生かして、医療機器製造会社でアプリケーションスペシャリストを目指すという道があります。病院やクリニックへ行き、その医療施設に合った医療機器の営業・販売を行っていきます。
夜勤や緊急オペのオンコールが無いため女性にも人気の職種ですが、残業が多く全国的な出張や転勤も多いので、結婚・出産などで断念せざるを得ない場合もあります。
他にも医療に特化したコンサルティング会社に就職する臨床工学士もおり、ペースメーカーや人工透析装置などの生命維持管理装置を導入している医療施設で、操作の説明や不具合の解明などをする業務を任されます。
どちらも年収の水準は比較的高く、30代前半で500万円台に乗るケースもありますが、昇給やボーナスは企業の業績に左右されます。人前に出ることも多いので、コミュニケーション能力が問われる側面もあります。