受験資格
「ME2種」の正式な名称は、「第2種ME技術者」です。「第2種ME技術者」になるのに必要な「第2種ME技術実力検定試験」は、1979年から始まりました。日本生体医工学会が運営する同試験は、「医療従事者が持っておかなければならないMEに関する知識、実力を確かめる」という趣旨で始まったとされています。
「第2種ME技術実力検定試験」とは、「ME機器・システムの安全管理を中心とした医用生体工学に関する知識を持ち、適切な指導のもとで、それを実際に医療に応用しうる資質を検定するもの」と定められ、年に1度実施されています。受験会場は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡の7カ所で受験することが可能です。
「第1種ME技術実力検定試験」は「第2種ME技術実力検定試験合格者」か「臨床工学技士免許所有者」でなければ受けることができませんが、ME2種は基本的に誰でも受けられるもの。ここが通称「ME1種」大きく違うところです。ME機器やシステムを実際使っている人だけでなく、将来ME機器やシステムに関わる仕事に就きたいと考えている人にとって、「ME2種」を取得することはメリットとなるでしょう。日本生体医工学会では、以下の人たちに「第2種ME技術実力検定試験」を受験するように推奨しています。
- 医師や看護師、臨床検査技師など、医療従事者
- 企業で医療機器の開発や製造、販売、修理などに関わっている担当者
- ME関連の大学や専門学校に通う学生(特に臨床工学技士を目指す学生)
以上に該当する人は、ぜひ受験を検討してください。
試験内容
ME2種には、五者択一式試験と小論文試験があります。試験範囲はME、医療、理工学の基礎から、ME機器の原理や構造、機器の操作方法や運用、保守、点検の方法など幅広い分野から出題されます。
ICUやCCU、手術室、病室、診察室などの医療現場では、たくさんのME機器やシステムが使用されています。出題されているのは、MEとして医療現場の機器を安全に運用するために、最低限知っておかなければならない基礎的知識や実際的知識を聞く問題です。医療従事者で、日頃医療現場で使用しているME機器に関する問題が出題されていれば、試験をパスするには便利だと言えるでしょう。
検定試験では分野が6つに分けられており、「基礎医学」「基礎工学」「基礎ME」「原理構造」「操作運用」「保守安全」の各分野からそれぞれ20問ずつ出題されます。試験は午前の部と午後の部があり、午前の部では、五者択一式試験が60問出題、解答時間は、2時間です。午後の部は、五者択一式試験と小論文で、解答時間は、合わせて2時間50分です。五者択一式試験は、午前中と同じく60問が出されます。
小論文は、全受験者に共通のテーマが与えられるので、それに沿った内容の事実、受験者の客観的な考えを書きます。400文字以上600文字以内で書かなくてはなりません。小論文は、400文字以下だとその時点で不合格となります。五者択一式試験で良い点数を取っていても小論文が規定に満たなければ、必ず不合格となるようです。
小論文に決まった点数を割り与えているわけではありませんが、合否を確定させる際には五者択一式試験で得た点数に小論文の点数を加味する形で最終的な点数が決められます。正答率がおよそ6割に達すれば合格となります。
受験料
受験料は1回12,000円。一度振り込んだ受験料は、返金されません。例年6月中旬から7月中旬までが受験願書受付期間中となります。6月上旬までには、資料請求をして願書の入手した上で、振り込み方法を確認しておきましょう。
ME技術実力検定試験事務局に必要事項を記入した返信封筒を送り、資料を返送してもらいましょう。
試験日程
ME2種の試験は例年、9月上旬の日曜に開かれています。1日のみですが、午前9時50分から16時半までとおよそ1日かけて試験を開いています。試験日程は、例年4月中旬にME技術教育委員会のホームページで公表されます。受験を考えている人は4月ごろから、ホームページをチェックしておきましょう。
難易度(受験者数、合格者数、合格率など)
1979年から始まったME2種の試験は、開始当初は受験者数が少なく、400人に達しない時期もありました。ただ、年々ME技術者の社会における需要が高まっていることから、受験者数が増加しています。2013年ごろから、受験者数は6000人を超えるようになり、注目度の高い検定試験となっています。
合格率は30%前後です。日頃、ME機器やシステムを使用している人が多く受験しているのに、3割の人しか合格していない点をみると、問題は難しく比較的難易度が高い検定試験と考えられます。
ME2種の資格に関する公式URL
日本生体医工学会ME技術教育委員会の公式ホームページ:https://megijutu.jp/
勉強時間目安
第2種ME技術実力検定試験を受験するには、講習などが行われていないため、独学で勉強することが必要です。「ME2種」の試験に合格するためにまずするべきことは、過去5年分の実際の試験問題を解くことです。過去問を解くことで試験問題の傾向、頻出分野を知ることができます。
それだけでなく、現時点での自分の実力を把握することができ、合格までどれくらい勉強しなければならないかという目安にもなります。まずは解いてみて間違っているところや苦手な分野を確認しておくのがよいでしょう。正解した問題でも、正解の理由などがしっかりと理解できていない場合には、内容を確認しておきましょう。5年分の問題を一通り解き終わったら、次は間違った問題を重点的に解いていきましょう。
ME技術教育委員会は過去5年分の試験問題を掲載した問題集を出版しています。日本生体医工学会ME技術教育委員会の公式ホームページには、ME技術教育委員会が発行している問題集に載っていない、第1回からの問題を無料で閲覧することができます。医療機器に関する技術は日々進歩しており、古い問題の場合は最新のものと内容が大きく異なることも考えられます。ですが、試験対策に問題をたくさん解きたい人は、チェックしてみるとよいでしょう。
小論文も書く練習が必要です。試験で重視されるのは択一式試験で、小論文は択一式試験に加点する形ですが、時間内に規定の文字数に達していなければ合格することができません。普段から一定の文字数の文章を書くことができるよう訓練しておくことは大切です。
小論文の勉強法としては、医療系の新聞記事などを日頃から読んでおくことが効果的です。日常的に情報を取り入れて自分の考えをまとめておけば、試験当日もテーマに沿った小論文が書けるようになるでしょう。過去に出題されたテーマや今自分が気になっているテーマに関して実際に小論文を書いてみて、練習するというのも一つの方法です。択一式試験でも同様で、常に現場の機器に関する最新情報を捉えておくことが肝要です。
日本生体医工学会ME技術教育委員会では、「2種ME技術実力検定試験」の受験対策になるような講習会は行われていません。しかし、「ME塾」という人気の講座が開催されています。「第1種ME 技術者」を対象としたものですが、「2種ME技術実力検定試験」を受験しようとしている人も、受講可能なので申し込んでみるといいでしょう。日程は、日本生体医工学会ME技術教育委員会のホームページで確認することができます。
勉強時間の目安は、受験者のバックグラウンドによって違います。医療現場に従事している人、ME機器の開発に従事している人、全く別の職種からの挑戦する人とでは、元々持ち合わせている知識の量が異なるため、必要とする勉強時間も異なってきます。特にすでに実務においてME技術に触れている人は、比較的短い勉強時間で合格を目指すことができるでしょう。通勤時間や休憩時間など、すき間時間を上手に使い勉強を進めましょう。
おすすめ参考書ランキング
試験対策に活用できる参考書としてランキング上位に位置しているのが、日本生体医工学会ME技術教育委員会が発行している「MEの基礎知識と安全管理」です。基礎編ではME全般と安全に関する基礎的知識について解説しています。
更に応用編ではME機器ごとの原理・構成・構造、取り扱い上の注意、保守点検などについて書かれており、実務にも役立つような内容となっています。実際に実務としてMEにかかわっていない人が2種ME技術実力検定試験を目指す際には、まず目を通しておきたい参考書ということができるでしょう。ただし、すでに基礎知識がある人なら、試験対策としては問題集からの勉強でもいいかもしれません。
次に試験対策に活用できる問題集としておすすめなのが、同じく日本生体医工学会ME技術教育委員会が発行している「第2種ME技術実力検定試験問題集」です。ホームページから過去の問題はダウンロードできますが、解説が載っていないため答えを導き出すまでの手順を知るのは難しいものです。
この第2種ME技術実力検定試験問題集なら、過去5年分の試験問題に関して詳しい解説も載っているので、間違えた部分やわかりにくい部分に関して、理解を深めることができます。また問題を分野別にまとめた「キーワード検索」機能がついているので、苦手分野をピックアップして勉強することも可能です。
隙間時間を上手に活用したいなら、「第2種ME技術実力検定試験 必勝ポイント帳」を活用してはいかがでしょうか?試験で特に頻出する内容を簡潔にまとめてあり、初めて勉強する人にもわかりやすい内容になっています。更にイラストや表を積極的に用いてわかりやすく解説しているのがポイントです。重要語句は赤字で記載しており、付録の暗記用赤シートで隠しながら学習できるため、キーワード等の暗記にも役立ちます。
どの順で試験対策をはじめるのが効果的かは、人それぞれです。まずは問題を解いてみるところから始めるか、基礎を身に着けるところから始めるか、自分のスタイルにあった勉強法を選択し、合格につなげましょう。