前回までは、臨床検査技師としてどのような仕事をしているか、どのような点にやりがいを感じているかなどをお伺いしました。今回は、これから臨床検査技師は現場で求められていることはどのようなことかなど、詳しく聞いていきたいと思います。
■今後の臨床検査技師に求められていることについて教えてください。
臨床検査技師に求められているのは、正確さと迅速な対応、豊富な知識だと思います。どれだけ知識があっても、正確な検査や迅速な対応ができなければ意味がありません。直接治療や診断をするわけではありませんが、人の命に関わる仕事です。とてもプレッシャーのかかる仕事ですが、他の仕事では味わえない、とてもやりがいのある仕事で、医療現場にはなくてはならない存在だと思います。
■他の職種ではない臨床検査技師だからできることは何だと思いますか。
臨床検査技師の仕事は、大きく分けて「検体検査」と「生理検査」があります。その中でも生理検査は、医療機器を使って直接患者の体を検査します。生理検査の中には、超音波検査など看護師や放射線技師などが担当することもあります。臨床検査技師がほかのコメディカルと違う点は、正確に検査データを読んで診断できるということです。
もちろん、看護師や医師もある程度は読めます。しかし、ほとんどの医師は専門分野が決まっているので、質問されることもあるのです。例えば、超音波検査で「ある部分が厚くなっているけれど他の部分はどこが異常なのか分からない」ということもあります。
その点、臨床検査技師は超音波検査を毎日専門に行っているので、正確な判断ができ、医師の診断や治療に対して助言をすることができるわけです。あくまでも最終診断は医師が行いますが、ある意味対等な位置で仕事をすることもできます。
■臨床検査技師から見たドクターの立ち位置について教えてください。
あまり、立ち位置について意識したことはないのですが、医師とは情報を共有したり一緒に勉強したりすることもあります。しかし、どれだけ臨床検査技師の立場で助言をしても、基本的に医師の立ち位置は上だと思います。
でも、正直なところ、医師から信頼されると同じ立場で話し合いができる臨床検査技師もいるので、わたしも将来そうなれたらいいなといつも思っています。
■学生時代の勉強を振り返ってどう思っているか教えてください。
現場で働いていて一番思うのは、「もっときちんと勉強しておけばよかった」ということです。学生のころは、テストや国家試験のために勉強をしていたので、あまり現場のことを考えたことはありませんでした。学生の頃はどちらかというと、大学の単位を落とさないようにすることと、国家試験に合格するために勉強するということに重点を置いていたからです。
もちろん、大学のころに基本を一生懸命勉強したからこそ、今ここで仕事ができているんだと思います。でも、どれだけ大学で勉強をしていても、もっと学ぶことがあったのではないかと思うことがよくあります。
■今後も仕事を続ける上で勉強が必要であることについてどう思っていますか。
「大学を卒業して国家試験が終わったら勉強は終わり」というわけではありません。逆に、社会に出てからの方が毎日学ぶことが多く、自分で本を読んで勉強したり、研修に出たりします。医療は常に進歩しているので、この仕事を続ける限り、これからも常に勉強していくことが大切だと思います。
ここまで読んでみた方はいかがでしたでしょうか。全4回にわたって現役で活躍している臨床検査技師の方に、現場でのお話や将来についてなど、いろいろな話をお伺いしました。人の命にもかかわるとても重要な仕事で大変な一面もありますが、やりがいはそれ以上に感じられるのではないのかと思います。これから臨床検査技師を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。