今回は、インタビュー最終回となりますが、臨床検査技師として働きながら家庭の仕事とどのように両立したのか、また臨床検査技師として働く上で、「自分の心の支え」や「マインド(向上心)」を持っていたかなど、プライベートな部分についてもお話を伺っていきたいと思います。
◼総合病院を退職したときの気持ちや本音を教えてください。
総合病院を辞めるときが一番悩みました。でも、結果的に転職してとてもよかったと思っています。私が総合病院を辞めた理由はいくつかありました。ひとつは、子供ができて家庭環境が変わったことです。
それまでなら時間を気にせずに、職場に残り勉強などできていたのですが、仕事が終わるとすぐに家庭のことに頭を切り換えなければならなかったので、仕事に対して思うように時間が取れなくなりました。
職場でも上司や同僚にはとても、ご配慮頂いていました。上司は私が確実に定時に終われるようにシフトを組んでくれました。
しかしながら、働きやすい環境をつくって頂いてはいるのですか、自分のやりたい仕事というのが、意見しずらくなり、その当時は自分気持ちを出せずにいました。
仕事に対して配慮してもらった結果、以前のような働き方はしたくても、できない、させてもらえないという気持ちが正直な思いでした。
家庭でも毎日時間に追われ、余裕がなく、職場でも仕方がないとわかってはいても本意ではない業務についていることが、辛い時期でもありました。
◼家庭と仕事の両立と転職時の気持ちを教えてください。
総合病院にいる頃は、ちょうど子供も小さかったので両立が大変でした。主人も私も当直をしていたので、勤務の調整はもちろん、主人にまだ夜泣きの子どもをみてもらっていました。
もちろん職場では申し出れば、当直は免除してもらえる立場ではありました。
ただ当時は以前と同じ様に働きたいという気持ちが強かったので、無理をして当直のシフトに入れてもらっていました。
このような状態が続くと家庭と仕事のバランスが難しくなりました。
何のために仕事をしているのか、どんな家庭にしていきたいのか、そのためにはたどうしたらいいのか。転職はとても悩んでの決断でした。
今は非常勤として働いていますが、また働き方を見直す時がくると思います。その時に今この経験が活かせるように、日々頑張っていこうと思います。
◼内科医師の旦那さんとの共働きについて教えてください。
主人は私の仕事にとても協力的で、理解してくれています。子供のオムツ交換から保育園のお迎え、蒲団の上げ下ろしまで何でもしてくれます(笑)。医師なので仕事も忙しいとは思いますが、仕事と家庭のバランスを大事にしたいと思っているようです。私も主人も、家族みんなが健康で生活できればいいと考えています。
◼臨床検査技師の「認定資格」と「仕事の幅広さ」について教えてください。
臨床検査技師を対象にした認定制度は多岐にわたっており、臨床検査技師の知識技術が生かせる資格認定制度もたくさんあります。
私は超音波の認定資格を取得したわけですが、その中でも領域があり消化器、体表臓器、循環器、泌尿器、産婦人科、血管、健診といった専門領域にわかれています。
必ずしも認定資格が必要な訳ではありませんが、認定資格の取得は勉強の動機付けにもなりますし、スキルアップを通して質の高い検査に繋がると思います。
総合病院ではより専門性が求められる場合も多いですし、クリニックでは広い領域のスキルが求められる場合が多いと思います。
◼臨床検査技師として働く上での「自分の心の支え」と「マインド(向上心)」について教えてください。
独身の頃、好きなように勉強し、たくさんコネクションを作れたことが心の支えとなっています。
自分を取り巻く環境は変化します。その時その時で、できる事は変わってくると思います。
今限られた時間の中で、何ができるか。何を優先にしていくか。仕事が充実してできるように、家事や育児の合間に、専門誌を読んだり、調べものをしています。
知識や経験は積み重ねていけばいくほど、身になっていく実感が最近になって強く感じるようになりました。
ワークライフバランスを保つことを心がければ、仕事に対しての向上心も生まれてくるのではないでしょうか。
◼エコー未経験の臨床検査技師や超音波検査士をもっていない臨床検査技師に向けて、アドバイスをお願いします。
臨床検査技師のなかで生理検査分野、特に超音波検査業務は確かにニーズが高まってきていると感じています。特に女性の臨床検査技師はエコー検査の経験が求められくる機会もあると思います。
エコー業務を行う中で、病理学、生化学、細菌学、臨床検査技師としての知識がより一層大事になります。
現在エコー業務に従事していないとしても、日々の経験の積み重ねが、将来エコー業務についた時の仕事の幅を広げると思います。そして認定資格を取得したならば、是非現場で活かして頂きたいと思います。
長いインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。