前回は、臨床検査技師の方に、仕事のやりがいや超音波検査士の資格についてお聞きしましたが、今回は「新人教育の実体験」や「スキルの習得方法」について聞いていきます。
◼総合病院で経験した新人教育カリキュラムについて教えてください。
総合病院では新人はまず、一つの部署を1年から2 年かけて回っていました。配属された部署の上司がどの方もとても熱心だったので、丁寧に教えていただきました。
数年後、新人をローテーションさせず、入職すると始めに配属された部署で勤務する方針にかわりました。基本的には自分の希望する部署に配属されるということはありませんが、その間何度かヒアリングもあったので、働きながら自分の将来の働き方について上司に相談することができました。
◼近年の新人の辞めるタイミングについて思うことは何ですか。
私が20代の頃は、数年で辞めるという人はあまりいませんでした。この業種に限った話ではありませんが、女性は結婚や出産というタイミングで働き方を大きく変える方もいると思います。
しかしながらそれ以外にも数年で辞めてしまう人もいます。働き安い環境を求めての事だとは思いますが新人、特に20代は実践トレーニングの期間と位置付けて自分のキャリア形成を考えていったらいいと思います。
そうすることで、仕事の厚みを感じたり、スキルアップを目指そうとすることができ、仕事への自信にも繋がると思います。
◼現場でどのような工夫をしてスキルを身につけたのかについて教えてください。
検査を受ける方が、不快にならず安心して受けられる様に心がけています。
検査に入る前に、検査依頼内容の確認と履歴をチェックします。疾患について調べる事も多く、不明なことがあった場合は、時間をかけてでも解決するようにしています。検査を担当すればするほど勉強になりますね。
健診など病歴や検査履歴を事前に知る機会が難しい場合は、検査の際に差し支えのない範囲でご本人に聞くなどしています。
また臨床の先生や読影の先生方に、正確に所見が伝わる様に、撮影画像は丁寧かつ正確に記録しています。エコー装置も日々進歩しているので、機会を見付けては業者の方に装置の特性など伺うようにしています。
◼これまでで一番苦労された事はなんですか?具体的なエピソードを教えていただけますか?
30歳を過ぎてから超音波検査の技術を習得しなければならなかったので、当時は必死でした。
上司は丁寧でトレーニング体制もできていたのですが、少しでも早く習得したいという気持ちが強く、介助の必要な方には着くようにして、先輩の技術や検査の進め方などを間近で見るようにしていました。
時には先輩方の読んでいる医学雑誌などを、真似して購入してみたり、参加する勉強会の予定など伺って一緒に参加したりしていました。
また先輩方の行った検査記録を見返し、所見の書き方、画像とりかたなどを参考にしていました。
それら所見について質問しても、先輩方には丁寧にお答えして頂き、ほぼ超音波漬けの日々を過ごしていました。日々症例について話し合う職場環境であったので、無理なく勉強する習慣はついてきました。今思うとそのような職場環境を作って下さった上司や先輩方には感謝しています。
◼実務や先輩からスキルを学ぶときの流れについて教えてください。
トレーニングの期間は事前に了承を得た患者のみを担当します。どの患者を担当するかが決まっていたので、検査の依頼内容、疾患、検査の進め方など事前に調べることになっていました。規定時間内に検査を行い、ダブルチェックで上司が入ります。
検査中には質問することはもちろんできません。ダブルチェックの間も身を乗り出したり、表情を変えたりしないように緊張した状態でした。
検査が終了し、所見を書くタイミングで所見について教えて頂いていました。勤務内なので短い時間ではありますが、業務終了後にまた改めて質問するというかたちでした。
上司が参加している勉強会などには積極的について行くようにしていました。その際に他施設の方々も紹介してもらい、エコー業務に携わっている技師の方々ともたくさん知り合うことができました。
ありがとうございました。
次回の最終回は、主婦としての臨床検査技師の働き方についてお話を伺っていきたいと思います。