前回は、臨床検査技師の仕事に関する具体的な遣り甲斐や苦労した点などをお伺いしましたが、今回は、キャリアの形成の仕方、仕事を成功させるために臨床検査技師として、日々どういった態度で臨むべきか、というところを掘り下げていきたいと思います。
◼めまぐるしく変化がある医療の世界では、日々の勉強も非常に重要だと思いますが、日ごろ意識して勉強をされていますか?
院内で珍しい症例に遭遇したりすることもありますので、そういった時は、その後の精査結果を追ったり、疾患について調べてまとめたり、貴重な経験を無駄にしないよう心がけています。そしてスタッフ間で共有するようにしています。後輩のスタッフの子たちにも、そういった心構えは伝えています。そういった姿勢を持つことで、つねに基本に立ち返り、業務の本質を把握できるということにつながると思っています。
あとは先ほどお話した、外部の勉強会や学会に参加することですね。装置自体も日々進化していますので、装置の最新の情報に触れ、それに付随する症例や画像を目で見て、知識として溜めておくことは重要と考えています。
◼どういった勉強をされていますか?内容・時間etc…
外部の勉強会は、頻繁に開催されています。MYメディカルクリニックでは、院内の勉強会をやっています。つまり、自分が求めていけば情報や知識は中にも外にも溢れていますし、出会えるわけです。
人との繋がりで、いろいろと世界が広がっていくのに、自分の知識だけにとどまっていたらもったいないと思います。というより、そういった勉強を怠っていると、たぶんいつか通用しなくなってしまいます。
ちなみに勉強会は、有料でも平日の夕方数時間を活用するものは、1000円、2000円という安価なものがほとんどです。休日、半日や一日をかけて行う実践的な勉強会は万単位になりますが、自分のスキルアップになると考えれば高くないかなと思えます。
◼ご自身を含め、臨床検査技師で活躍されている方はどういうスキルを持った方が強いですか?
スキルという意味では、採血とエコーのスキルですね。この二つがセットでうまくできると、現場では重宝されます。エコーと一口で言っても、いろいろな領域に分かれていて、例えば私であれば、得意分野は「腹部」や「体表領域」ですが、それ以外にも、「心エコー」(心臓のエコー)、「血管エコー」などもニーズが高いです。また、最近では整形外科領域でもエコーが活用されています。私もそうですが、今の自分の得意分野、スキルに留まらず、できる範囲を広げていくことが重要だと思っています。
◼これから活躍する為にはどういった事ができる必要がありますか?またどういった事を勉強する必要があると思われますか?
先ほどのお話と重なりますが、外の勉強会などに参加するなどして積極的に情報を得ていく必要があるだろうなと思います。年齢はあまり関係ないと思います。もちろん、若ければ若いほど伸びしろが大きく、吸収力がありますが、キャリアを長く積んだ後でも、1日1mmでもちょっとずつ成長できればいいですよね。
ただ現実的には、まずは装置に触るチャンスを得るということも重要です。施設は、配属が一度決まってしまうと、なかなかひっくり返せないものですが、「どうしてもエコーがやりたい」と思っている人は、勉強を怠らないことに加えて、「やりたい」と職場でちゃんと声を上げることが重要だと思います。そうしないと、最も重要な経験が積んでいけませんからね。
◼逆になかなか活躍できない人はどういうタイプの人が多いですか?
成長をあきらめてしまったり、今の自分で満足してしまうタイプの人は活躍できないと思います。私は、「自分はこれでいいや」と思ったことは一度もないので、それが成長の原動力になっているのかもしれません。また、先ほどの質問の裏返しになってしまいますが、受診者さんとのコミュニケーションは本当に大事ですので、人との繋がり、交流を根本的に好きだと思える人の方が活躍できることは間違いないと思います。
◼性格的にはどういった方が合うと思われますか?逆に合わないと思いますか?
やはり「責任感」は重要だと思います。正確さを求められる仕事で、時には検査結果が生死に直結することもあります。正しい検査で受診者さんの健康を守る、早期発見につなげるという自覚を持てる方が向いていると思いますね。
◼ご自身の今後のキャリアプランはありますか?もしあれば教えていただけますか?
自分でとれるエコーの領域をもっと広げていきたいですね。例えば心臓の領域だったり、多領域に対応できるようになっていきたいです。また、エコー以外にも、採血などスキルアップできる領域はまだまだたくさんあると思っています。そういった部分をクリアしていけば、必然的にキャリアアップにつながると思っています。
私の場合は、もっとオールマイティになっていきたいという目標がありますが、人によっては、一つを極めるんだ、というキャリアプランがあってもいいと思います。
いかがでしたでしょうか。全4回にわたって、現役で活躍されている臨床検査技師の方からお話をお伺いしてきました。仕事の歓びや苦労、また、キャリアを形成していく上での日々の勉強方法など、非常に役立つ情報が満載だったかと思います。これから臨床検査技師を目指す方は、ぜひとも参考にしてみてください。
渋谷区にある「MYメディカルクリニック」検査科の責任者として勤務
得意な検査は超音波で、その業務に関連する認定を所有。
MYメディカルクリニック
http://www.mymc.jp/
■ベテラン臨床検査技師が語る魅力
第1回 どんな人が向いてるのか。臨床検査技師はプロとして、「納得のいく説明を行う」義務がある。
第2回 繁忙期のほかに「瞬間的な忙しさ」が発生する時があります。
第3回 「この人のために、早期発見がしたい」。この想いを持って、検査の精度を追求していく仕事だと思います。
第4回 まずは装置に触るチャンスを得ること。そして「やりたい」と声を上げることが重要。