前回は、診療放射線技師の勤務内容や日々の業務や外部との関わりなどに関してお伺いしてきましたが、今回は、さらに具体的な遣り甲斐や、逆に苦労する点などをお伺いしていきます。
日々の仕事の中でどのような点にやりがいを感じますか?
「連携」を基本とした仕事ですから、医師の意図を汲み取り、それに対してちゃんと応えられる仕事ができたときは遣り甲斐を感じますね。個人的な意見ですが、技師の遣り甲斐はそれに尽きるのではないでしょうか。
基本的に我々の仕事は、医師、歯科医師などの指示で始まるのですが、撮影方法に関してそこまで知見のある医師ばかりではありませんので、具体的な指示がされないケースもあるんです。やはり、放射線技師である我々が主体的に考え、どのように撮影すれば医師の判断材料になるのかを決めなければならないのです。それがしっかりと機能した時は、とてもうれしいですね。
それに、日々の接遇の中で、受診者のために何ができるかという視点で業務を進めていけば、改善点は多く見つかります。一つ一つの対応を丁寧にしていけば、感謝されることもあります。そういった時も、すごく遣り甲斐を感じます。ただ検査をこなすだけでも感謝されるなんてこともありましたが、私は、「誠心誠意やれることを全部やったうえで、感謝されたい」そう思っています。
これまで一番良かった具体的なエピソードなどありますでしょうか?
現場では、放射線技師が主体的に考えて撮影した画像で、受診者の緊急度が変わることがあります。
医師は、とある病気を疑い検査を依頼してきたけれど、実際に話を聞くと、他にも考えられることがあり、その疑いを基にしたプラスアルファの画像を送ったりするわけです。また、「先生の判断よりも早く対処すべきだ」という風に先生に申し出、実際に救急搬送されたなんてこともありました。そういったケースで、後日、受診者や医師から感謝を伝えてもらったりすると、すごくいいことをしたなという気持ちになります。
逆に日々苦労を感じる点はどういう部分でしょうか?
例えば、足が痛くて病院に来たという受診者がいます。医師は、足の痛みは腰からくる可能性があるため、腰の検査をオーダーしてきます。当然我々も、腰からくる足の痛みを考慮して検査するのですが、医師と受診者の間でしっかりとコミュニケーションが取れていないと、受診者は「足が痛くて病院に来たのに、なんで腰の検査をするんだ」という風にストレスを感じられることがあります。もちろん改めて検査説明をさせていただいたり、依頼医師に再度説明をしていただいたりしていますが、そういったフラストレーションをぶつけられた時などは苦労を感じることもありますね。
これまでで一番苦労された事はなんですか?具体的なエピソードを教えていただけますか?
「造影剤」という画像診断には欠かせない薬があります。検査の依頼内容によっては造影剤を使った検査をしなければならないのに、受診者の別の病気や服薬しているお薬などの理由により、造影剤が使えなかったりします。受診者も、労力をかけて病院にきているのに、何の検査もせずに帰っていくということがありました。心苦しかったなという記憶があります。
診療放射線技師になりたいと志をたてられ、実際に従事されてますが、当時イメージされていた仕事と同じですか?違いますか?(違う場合はギャップの部分を)
当初のイメージとは大きくかけ離れています。やはり、画像を撮影したり見たりするだけではなく、他の医療従事者や受診者としっかりとコミュニケーションを取って作業するという部分に大きな違いがあると思いますね。
医療関係者と診療放射線技師の関係性や、患者のケアの方法など、具体的にお話いただきました。次回は、診療放射線技師として今後求められることなどを聞いていきます。
「東京メディカルクリニック」勤務
クリニックの放射線技師長として20名弱の放射線技師を取りまとめている。
東京メディカルクリニック
http://www.moegi.or.jp/
■診療放射線技師とその魅力
第1回 放射線技師としての腕の見せ所はここ!
第2回 意外なところから出てきます。コミュニケーション能力の差とは。
第3回 最高の達成感を味わう瞬間はいつ?苦労があるから「やりがい」が見えてくる。
第4回 放射線技師としてスキルアップをするための近道とは。これから求められるスキルについて。