前回は、臨床検査技師の方の実際の日々の働き方、業務内容をお伺いしましたが、今回は、具体的に臨床検査技師として働く上での「遣り甲斐」や「苦労する点」などをお伺いしていきたいと思います。
◼日々の仕事の中でどのような点にやりがいを感じますか
現在勤務しているクリニックは、なんというか、意外と「企業」みたいな感じで、問題が起きたら皆で意見を出しあって、決まった事は即実行します。とても良い社風だと思っています。
また、検査業務に関して、ある程度裁量権を持ってやらせていただいているので、そこは、前に進むためにいろいろと試行錯誤するという意味で、非常に遣り甲斐を感じています。
私たちとしては、今エコーの件数が目標となっています。この件数が予約数に直結するので、私たちが頑張れば頑張った分だけ業績に直結するということです。ですが、現段階ではスタッフもそこまで増やせないですし、装置も2台しかないため、その中で工夫して、検査の質を維持しながら件数を増やす努力をしています。
◼これまで一番良かった具体的なエピソードなどありますでしょうか?
私は、いつも受診者さんに対して「この人のために、早期発見したい」と思っています。そういった気持ちを持って検査を行っていますので、例えば、過去には見つからなかった異常を発見してあげられた、かなり小さいがんを見つけてあげられたというときは、やっててよかったと思いますね。
そもそも、検査で異常を発見するということは、知識やスキルが大いに関係してくるのです。結局、人が検査を行うので、その人の癖や、人的なミスは、どうしてもゼロにはなりません。ですから、私たちは、検査のやり方を工夫して、どれだけ見落としなく検査の精度を上げていけるかということを追及していきます。自分なりに追及したことが、受診者さんのためになったときはとてもうれしいですよね。
◼逆に日々苦労を感じる点はどういう部分でしょうか?
苦労というか、エコーに関する認識が伝わってないということはありますね。エコーって、他の検査に比べて時間がかかるんですよね。他の検査は1、2分で終わることがほとんどなんですが、エコーだけは10~15分ぐらいかかってしまうんです。
見落としのない検査を行うには、ある程度の時間が必要なのですが、時間をかけ過ぎず、不快な思いをさせないよう、受診者さんとコミュニケ―ションを取りながら行うようにしています。
クレームにつながらないよう、そこは日々苦労しているポイントですね。
◼これまでで一番苦労された事はなんですか?具体的なエピソードを教えていただけますか?
他の仕事でも、職場や部署が変わる時にありがちなことだと思いますが、今の職場に入った当初、前任者からの引継ぎが十分でない状態で現場を任されたので、そこは苦労しました。
最初はまさに孤軍奮闘でした。私が今まで経験してきたことをもとに提案したやり方を受け入れて頂き、そこから受診者・スタッフともに増えてくるうちに、だんだんとチームとしての形が出来上がってしました。
当時を思い出すと、「あの時は大変だったな」って思いますね。
◼臨床検査技師になりたいと志をたてられ、実際に従事されてますが、当時イメージされていた仕事と同じですか?違いますか?(違う場合はギャップの部分を)
実際に思っていたよりも、厳密なスキルがいるというのが今の印象です。実際に働く以前は、国試に受かるだけで働けると思っていましたが、そのレベルではまったく通用しません。
先ほど話した通り、自分の腕一つで、受診者さんの小さながんや、異常が見つけられたりするわけです。そういう意識を持って、一生懸命極めていこうとすると、日々技術を磨くということがとても重要になってきます。想像されるよりも、意外とストイックな仕事だと思います。
ありがとうございました。
次回、最終回は、臨床検査技師としての日々の姿勢や、勉強に対する態度、またキャリア形成のことなどに関してお伺いしていきます。
渋谷区にある「MYメディカルクリニック」検査科の責任者として勤務
得意な検査は超音波で、その業務に関連する認定を所有。MYメディカルクリニック
http://www.mymc.jp/
■ベテラン臨床検査技師が語る魅力
第1回 どんな人が向いてるのか。臨床検査技師はプロとして、「納得のいく説明を行う」義務がある。
第2回 繁忙期のほかに「瞬間的な忙しさ」が発生する時があります。
第3回 「この人のために、早期発見がしたい」。この想いを持って、検査の精度を追求していく仕事だと思います。
第4回 まずは装置に触るチャンスを得ること。そして「やりたい」と声を上げることが重要。