現役で活躍する診療放射線技師の方へのインタビューです。その仕事を選んだ理由や、職業としての魅力を語っていただきます。
今回は、技師長として、20名弱の放射線技師を取りまとめている三原嵩大さんに仕事の遣り甲斐や日々苦労されていることなどを伺いました。
◼プロフィールを教えていただけますでしょうか?
三原嵩大と申しまして、2006年から東京メディカルクリニック(前身は、滝野川メディカルクリニック)の放射線科、技師長をしています。新卒からここに勤めていて10年が経ち、2016年7月からこのクリニックの放射線技師長として20名弱の放射線技師を取りまとめています。特に、CT検査が得意で、大腸CT検査に関しては、研究会の運営などにも参加しています。
◼診療放射線技師とはどういったお仕事でしょうか?
一般的な定義としては、「医師若しくは歯科医師の指示の基で検査を行う」また「専門家として撮影した画像を提供する」というものです。先生からの検査の依頼内容は具体的な撮影の指示がある場合とスクリーニング目的といった曖昧な場合とがあります。どんな病気かわからないけどまず調べてほしい、という感じです。このような場合、診療放射線技師が受診者の症状・主訴・所見に合わせてどういった撮影方法が適切なのかということを改めて考え検査にあたるというケースも少なからずあり、このあたりが放射線技師の腕の見せ所でもあるわけです。最近は撮影装置が非常に高性能になっており、医師からの高度な撮影指示に応えるためにも装置への理解が重要になってきます。
加えて、読影補助など、業務の対応範囲が拡大している傾向がありますね。読影とは、先生が画像の中から病気を見つけ出すことを指しますが、医師がその判断をしやすくするための画像の提供などが「補助作業」に当たります。
◼診療放射線技師になりたいと思われたのはいつですか?また、そう思われたきっかけなどありますか?
高校3年生の時ですね。母親が医療職で看護師として勤めており、その影響がありました。当時、親に医療職に就きたいという相談をしたところ「放射線技師が向いているんじゃないか」という答えが返ってきたので、そこから真剣に調べ始めました。
母としては、パソコンとか機械をいじったりすることが苦じゃないという私の傾向を見てアドバイスしてくれたようです。事実、私は機械やパソコンをいじるのも嫌いじゃなかったので、そういった性格と、医療系という部分で放射線技師を選びました。
◼どういう仕事のイメージを持たれていましたか?
最初は、実際シャウカステンなどの前でフイルムとにらめっこして、撮った画像と向き合っている事が多いのかなと思っていました。
地下で壁と向き合って黙々と一人で作業をしている様なイメージでした。
◼診療放射線技師になろうと思ってからは具体的にどういう行動をおこされましたか?
4年制の大学に進むよりも、早く社会に出ることが出来る専門学校への進学に決めました。高校3年の夏ぐらいから見学などを繰り返し、「ここを受けようかな」という風に決めていきました。
◼診療放射線技師になる為にはどういった方法がありますか?ご自身はどの道を選ばれましたか?それぞれの特徴やメリット・デメリットは?
「4年制大学」か「専門学校」どちらに進むかによって、多少違いがあると思います。私は、「なるべく早く現場に立ちたい」という想いから専門学校を選びました。これは事実、専門学校を選ぶメリットだと思います。
賃金の面では、4年生大学を卒業していると、初任給で若干プラスがある施設もあるようです。最近では、医療機関の中でも、例えば看護師などに関して「4年制の大学を推奨する」ような動きがあったりします。今後、放射線技師もそういった方向に進んでいくかもしれませんね。
◼ご自身の性格は診療放射線技師に向いていると思いますか?どういった点で向いていますか?ちなみにどういった性格の人が向いていると思われますか?
私自身は「向いている」と思っています。放射線技師として能力的に求められるのは、コミュニケーション能力です。放射線技師は、他の医療関係者との連携が非常に重要な仕事です。画像だけを見ていればよい、というわけではなく、医師や看護師と密に連携を取り、いろいろな先生のオーダーから、「やってほしい内容」を汲み取り、実際に行うという「相手の意図をくみ取る力」が必要でしょう。
当然、受診者との接遇の際にも、コミュニケーションは必要です。健康診断と診療にかかられる受診者の健康状態には差があります。どのようにコミュニケーションを取ればその人が満足するかということを、しっかりと読み取り、実行に移すスキルが必要になるのです。
また、向上心がある人は向いていると思います。「綺麗に写真を撮りたい」と思える人は、やはりすごく伸びていきますね。一方で、実際の現場では当然業務スピードなども関わってくるため「業務を俯瞰して見る」ことも重要です。
いかがでしたか。診療放射線技師という仕事の概要や職業としての性質などが理解できたかと思います。次回は、実際の生活や勤務内容などをお伺いしていきます。
「東京メディカルクリニック」勤務
クリニックの放射線技師長として20名弱の放射線技師を取りまとめている。
東京メディカルクリニック
http://www.moegi.or.jp/
■診療放射線技師とその魅力
第1回 放射線技師としての腕の見せ所はここ!
第2回 意外なところから出てきます。コミュニケーション能力の差とは。
第3回 最高の達成感を味わう瞬間はいつ?苦労があるから「やりがい」が見えてくる。
第4回 放射線技師としてスキルアップをするための近道とは。これから求められるスキルについて。