近年、医療の現場では「チーム医療」で診察や治療を行う傾向が強くなってきています。その中でも診療放射線技師は専門職として求人数が増加傾向にあり、改めて重要性が考え直されています。勤務体系や勤務時間が不規則で激務というイメージのある医療系の職業の中ではシフトを組みやすい職種のため、正社員の他に契約社員、派遣社員、時短のアルバイトやパートタイマーとして様々な年代や性別の診療放射線技師が活躍しています。勤務病院の規模や分野により多少年収の差はありますが、相対的には安定している業種と言われています。では診療放射線技師の給与の相場や平均年収、手当などについてまとめてみましょう。
診療放射線技師の給与の相場は?
診療放射線技師の平均年収は、まだまだ平均データにはバラつきがありますが、20代では300万円後半から400万円前後、30代では500万円前後、40代では600万円前後と、平均的なサラリーマンのように年齢に応じて着実に推移していくことがわかります。他にも、その勤務病院に所属している人員の相対的な人数が給与の相場を左右する一面もあり、1000人規模の大きな事業所になるとその規模と一緒に年収の平均も高い傾向にあるようです。
年収は拘束時間に比例している部分もあり、1000人規模の事業所のような大きな総合病院は24時間体制での勤務を求められる可能性も高くなります。救急で運びこまれた患者の検査や手術などに立ち会うために深夜手当などが発生するので、その超過分が給与に手当として反英されることで年収アップに繋がることが想定されます。こういったことを踏まえて、診療放射線技師を目指す場合は自分はどのような規模の病院で、どのような時間のサイクルで仕事をし、何を最優先に生活をするかということをきちんと想定しながら勤務病院を探すことが生活の充実感を得ることにも深く関係してきます。
診療放射線技師の勤務先と将来性
一般的に私たちの思い描く診療放射線技師の仕事のイメージは、捻挫や骨折をした時にレントゲン写真を撮影してもらうというものではないでしょうか。このレントゲン写真一つとっても、患者が怪我をしている場所を的確に医師が診断しやすいように角度や断面わかりやすく無駄のないように撮影できる確かな腕が職場での信頼感にも繋がります。
近年推奨されている乳がん検診の検査の場でも、マンモグラフィを扱うことのできる放射線技師が求められています。特に女性のデリケートな場所に関わる診察をしなければならないので、女性の診療放射線技師の活躍が期待されています。日本だけでなく世界的に乳がんを早い段階で発見することが治療していく上での最優先項目とされており、乳がん検診を広め、若い世代にも定着させるべく、検診を受けることが抵抗のないようにな場所となっていくように国からも推奨されています。
また検査だけでなくガン治療に放射線を用いる場合は特殊な資格が必要となり、医師の指示に沿って放射線メスを扱う技術を持っている人材の確保が急務だと言われています。このように検査だけでなく治療も行うこともできる専門的なスキルを身につけるためには、新人からの臨床経験という下積みがその後の経験値として生きてくる大切な財産となるでしょう。機械の扱いに長けていることや、データを正確に医師に伝える的確さの他に、医師とコミュニケーションを取りながら同じ視線で診療を行えるような診療放射線技師が増えることで救われる命もたくさんあるのではないでしょうか。
医療現場以外での診療放射線技師の就職先は?
医療の現場に限らず、診療放射線技師を募集している企業もあります。医療機器メーカーなどの一般企業でも診療放射線技師でなおかつ臨床経験のある人が広く求められています。医療機器メーカーは外資系企業も多く、社内のやり取りが英語やその他の外国語を必要とするために、TOEICのレベルもある程度のラインを設けている企業も多く、年収は病院勤務より高くなる企業もあるほどです。
また大卒者に限られていることもありますので、医療の道に進んで検査や治療の携わりたいのか、機器の開発に進みたいのかによって進学する学校を熟慮しておかなければなりません。医療機器メーカーでの平均年収は病院勤務よりも高い水準の平均年収であり魅力的ではありますが、出張や転勤も多く、激務となることを想定しておきましょう。検査用のレントゲン写真を撮る検査業務から乳がん検診やがん治療の分野、そしてそういった治療を行う機器の開発の分野へと診療放射線技師の活躍の場は広がっています。どうしても勤務時間や拘束時間に比例するために医師や看護師ほどの年収は見込めないと思われやすい職種ではありますが、総合病院や一般企業への就職をすることで激務にはなりますが平均年収も上がりやすいです。
今後は放射線だけでなく磁気装置など最新の医療機器を駆使し、医師の診察の効率を高めより多くの患者を受け入れられるように、的確に医師の右腕となって動ける診療放射線技師が現場での要となる可能性を秘めています。病気や怪我は時間との勝負です。「チーム医療」の中でもそれぞれの分野のスペシャリストがかけられる時間は限られており、いかに迅速に正確に、そしていかに丁寧に自分に任された専門職を全うできるかどうかが、現場でのポジションにも大きな影響を与え最終的には給与という形で結果となって反映されるのです。