臨床工学技士は、医師の指示のもとで患者の生命維持に関わる機器の操作や、それらの管理・保守点検を行う医療現場の専門職です。
人工透析のクリニックなどで「血液透析療法」や「血液ろ過療法」、「血漿交換療法」、「血液吸着法」などを行うのも臨床工学技士で、外科手術のチームに入って体外循環装置や生命維持管理装置の操作や点検を行うのも臨床工学技士です。
近年、医療機器はかなり高度かつ複雑化しているので、臨床工学技士はこれからますます需要が高まっていくことが予想されています。
では、臨床工学技士になるためにはどのような方法があるのでしょうか。
臨床工学技士を目指すためには ①専門学校
臨床工学技士を目指すためには、高校卒業後もしくは高校卒業に値する課程を修了した後に、専門の大学や専門学校を卒業して、臨床工学技士国家試験に合格しなければ臨床工学技士にはなれません。
最短で臨床工学技士国家試験に合格するためには、3年間で国家試験の受験資格を得られる専門学校で学ぶことが挙げられます。
高校卒業時に既になりたい職種の希望がはっきりしており、臨床工学技士になるための専門的な勉強をしたい・臨床工学技士として就職をしたいという場合には大変適していると言えます。
学費について見てみると3年間で約400万円と決して安くはありませんが、年齢的には比較的若いうちから医療の現場で臨床経験をつむことができるというのが最大の利点ではないでしょうか。
そして、臨床工学技士の合格率は70%~80%程度ですので、学校の勉強と国家試験対策をしっかりしておけば、決して狭き門ではないと言えるでしょう。
臨床工学技士を目指すためには ②大学
臨床工学技士の養成課程がある4年制大学を卒業後、国家試験を受けるという選択肢もあります。
国公立大学の方が学費は抑えることができますが、大学の数は私立大学の方が多いので、通う地域や大学の立地条件なども考慮に入れておきましょう。
専門学校を卒業して早くから現場に立っている同年代の技士と比べると最初のうちは経験の足りなさから焦りを感じることもあるかもしれませんが、大学院の修士課程まで修了することを視野に入れている場合は大学卒業が必要不可欠となります。
より専門性を深めるために英語の論文を読まなければならない機会もありますので、大学にて英語力を養うことも長期的に見ると就職してから役に立つ武器になることでしょう。
また論文を書いたり学会で発表したりする機会もありますので、専門的な知識を習得するとともに「理論的に考えて言葉にして伝える」コミュニケーション能力を身につけることにも繋がります。
臨床工学技士を目指すためには ③専攻課程1年コース
やや特殊なケースとしては、「理学療法士」や「作業療法士」、「看護師」、「臨床検査技師」などの医療系の国家資格を取得している有資格者が、1年で臨床工学技士国家試験の受験資格を取得することができる専攻課程を履修するという道もあります。
もしくは、現役でなくても医学系の専門学校を卒業していることが専攻課程入学の条件となります。
実際に医療の現場で働きながら、さらなる資格の取得としてこの課程を履修する人も多いので、臨床工学技士専攻課程の学生の平均年齢は30代以上と言われています。
本来であれば、専門学校でも3年かけて身につける知識を1年に集約した講義内容となっているので、早く受験資格を取得したい人には最適ですが、勉強漬けの1年間となることが予想されます。
結婚や出産を機に、勤務時間を短縮しながらでも働くことのできるクリニックもあり、転職を考える上でも持っていると有利な資格と言えるでしょう。
臨床工学技士を目指すためには、専門学校か大学を卒業し、国家試験に合格しなければなりません。
専門学校を選択して比較的若い年齢で臨床の経験を積むこともできますし、大学を選択して専門知識以外の英語力や論文発表の力をつけることもできます。
さらに専門性を深めるために大学を修了した後に大学院で修士課程を取ってから就職し、特殊なオペなどにも対応できる臨床工学技士を目指すという道もあります。
臨床工学技士の就職先は透析のクリニックから緊急オペに対応する総合病院まで幅広く、医療機器が複雑化している昨今、今後も活躍の幅が広がることが期待されています。