病院でのさまざまな検査や健康診断で活躍するスペシャリストとも言える臨床検査技師には、女性が多いと言われていますが、男女比はどのくらいなのでしょうか。女性が多いのには理由があるのでしょうか。また、臨床検査技師は仕事内容的に男性だと不利なのでしょうか。臨床検査技師の資格が生かせるさまざまな職業についてもご紹介しながら検証してみました。
臨床検査技師の男女比はどのくらい?
臨床検査技師の男女比は、だいたい3:7ぐらいです。女性が多いのには、いくつか理由があります。
まず、乳がん検診や心電図検査をはじめ、患者の身体に直接触れるような検査や、衣服を脱いで行なうタイプの検査の場合、男性の臨床検査技師では抵抗がある、という点です。
また、臨床検査技師は、女性が無理なく長く働きやすい仕事として認識されており、志す人が多いことも女性が多くなる理由の1つです。業務の内容的に力仕事がなく、年齢を重ねて体力が落ちてからも続けやすいのです。
そして、担当するのが検査なので、日中の決まった時間の勤務で仕事ができる職場が多くあることも女性に好まれる理由と言えます。残業が少なく、夜勤もない職場なら、家庭を持ってからも子育て期間で無理なく仕事を続けられるからです。
資格のある専門職なので、産休を取ったりブランクができたりしても、臨床検査技師としてまた仕事を続けられる可能性が高いことも、大きな魅力の1ではないでしょうか。
臨床検査技師は男性には不利な仕事?
では、臨床検査技師は男性だと不利な仕事なのでしょうか。実は、大きな病院の検査室では、小規模な病院よりも男性の比率が多くなります。大病院などの検査室では、身体に直接触れる必要のない検体検査も多いため、男性技師が多く勤務している傾向にあるのです。
検査でも、レントゲン検査などは着衣で行なわれ、身体に触れずにできるものが少なくありません。健康診断でも男性技師のお世話になったことがある方は多いのではないでしょうか。また、夜勤がある職場では、男性が重宝されることもあります。
そんな臨床検査技師には、病院での検査以外にも活躍の場があります。アプリケーションスペシャリストリストと呼ばれる仕事がその1つです。アプリケーションスペシャリストとは、医療機関メーカーが病院に出向いて医療機器のデモンストレーションをしたり、展示会でデモンストレーションをしたりする仕事です。出張や残業が多いため、男性の方が活躍しやすい仕事です。
それぞれの強みを活かして
臨床検査技師が検査以外で活躍できる仕事はほかにもあります。CRCと呼ばれる治験コーディネーターや、臨床開発モニターといった仕事です。治験コーディネーターとは、治験施設支援機関(SMO)で被験者の管理やスケジュール調整をする仕事です。
CRAと呼ばれる臨床開発モニターは、製薬会社などで治験を実施する医師、病院を調査します。英語力が必要な場合も多く、理系で大卒以上が求人の条件になっていることも多い職業です。そのため、大学院卒の人も少なくありません。ただし、全国各地の病院に出向くため、比較的ハードな仕事と言えるでしょう。
治験コーディネーターは、臨床検査技師や看護師からの転職が多く、8割程度が女性です。臨床開発モニターは、MRや薬剤師からの転職も多く、男女比は半々です。
また、臨床検査技師が取得することで年収アップが見込める、ニーズが高まっている資格として「細胞検査士」、「超音波検査士」があります。臨床検査技師はさまざまな資格を取得することでキャリアアップできる職業でもあります。
臨床検査技師には確かに女性が多いのですが、男性でも関係なくできる検査も数多くあります。また、さまざまな職業に転職する場合も、臨床検査技師の資格を取っておけば役に立つでしょう。
臨床検査技師は、男性、女性がそれぞれの特性を活かして働いています。医療関係の職業の中でも活躍の場が多い臨床検査技師の仕事は、男女関係なく役立つ資格なのです。