臨床工学技士とは医療機関などでさまざまな医療機器の保守点検をしたり、患者の治療をするために医療機器の操作をおこなったりする仕事です。医師の指示のもと、患者の治療や検査に携わりますが、一歩間違えると誤診につながったり、患者の命を左右したりすることもあります。
また、この臨床工学技士の資格を取るには、専門学校や大学に通い国家試験を受験することが必要です。では、既卒者といわれる学校を卒業した人は、国家試験の合格や就職に不利なのでしょうか。詳しくご紹介していきます。
国家試験の合格者は圧倒的に新卒者が多い
厚生労働省によると、平成29年度臨床工学技士国家試験の受験者数は2,947名で合格者2,413名。合格率は81.9%と発表されています。新卒者と既卒者の具体的な数値は書かれていませんが、一般的にほとんどの受験者が新卒者で合格率も圧倒的に新卒者が高くなっています。
(参照:厚生労働省:第30回臨床工学技士国家試験の合格発表について)
また新卒者の合格率も大学や専門学校によってさまざまです。大学・専門学校選びが国家試験の合格を左右することもあります。では、どうやって大学や専門学校を選んでいけばいいのでしょうか。
これは人によっていろいろな価値観があるでしょう。例えば、「家に近い方が勉強に集中できる」「国家試験の合格率が高い方が信用できる」などです。大学や専門学校のホームページを見ると、その年の臨床工学技士の国家試験の合格率を見ることができます。
また、学校別の合格者状況を発表しているサイトもあります。そういったサイトを見て学校を選んでいくという方法もあります。ただし、よく見れば受験者数が1で合格者が1の場合、合格率が100%になります。合格率はあくまでもその学校を選ぶ目安と考えておきましょう。
既卒者はやっぱり不利?
それでは、既卒者はやはり国家試験や就職に不利なのでしょうか。既卒者は学校を卒業した後、自分で独学する場合がほとんどです。新卒者に比べて国家試験だけに集中できるので時間はたくさんあります。しかし、学校に行って勉強するのとは違い、自分でスケジュールを立てて勉強しなくてはいけません。どこかで甘えが出たり、勉強の時間配分がうまくいかなかったりということもあるでしょう。
また、勉強していく中でわからない問題が出たときに、すぐに質問できる環境ではありません。なにごとにおいてもすべて自分に厳しく勉強をすすめていくことが大切です。既卒者の合格率が低いといわれていますが、在学中のように勉強をすすめていれば学校で3年ないし4年勉強してきたのですから合格できるでしょう。
また、国家試験を合格した後の就職も一部不利だという話もあります。それは、採用する側が一度国家試験に落ちた人よりも、少しでも若い新卒者を採用したいという気持ちもあるでしょう。だからできるだけ、在学中に国家試験に合格しておくということは今後の人生にも関わってくると考えられます。
国家試験に合格後の手続き方法
臨床工学技士の国家試験に合格したあとの手続きも大切です。手続きを行わず臨床工学技士の仕事をすると行政処分の対象となりますので注意してください。まずは、臨床工学技士の免許申請に必要な書類の手続きを行い、厚生労働省へ書留で郵送します。この封筒も所定の免許申請用封筒があります。
申請書類は、「臨床工学技士免許申請書」というものです。この書類は専門学校や大学に12月~1月に配布しているので、確認してみましょう。また、「臨床工学技士免許申請書」のPDFデータを印刷することもできます。なかなか手に入らない場合はインターネットで印刷したものを使用していきましょう。
この書類と同時に他にも添付する書類が必要です。
- 戸籍抄(謄)本
- 健康診断書(所定の用紙を利用する)
- 返信用封筒(所定の免許証送付用封筒を利用する)
随時受け付けているので書留で郵送してください。
詳しくは以下のサイトに記載されているので、確認してください。
(参照:電子政府の総合窓口)
臨床工学技士をこれから受験する人は、できるだけ新卒のうちに合格しておくことが大切かということが、わかっていただけたでしょうか?もちろんほとんどの方ができるだけ在学中に合格するために一生懸命勉強されていることでしょう。しかし、学校に入学したころからきちんと勉強していなかったせいで、国家試験の勉強を満足できなかったということもあります。やはり、国家試験も就職も既卒者は不利な面があるので万全の体制で準備しておきましょう。