受験資格
エックス線作業主任者は、労働安全衛生法に基づいて、都道府県労働局から国家資格であるエックス線作業主任者免許を交付された人の中から、事業者が選任するものです。
事業者は、鋳物等の非破壊検査など医療用以外の用途で1メガエレクトロンボルト未満のエックス線を出力する際、エックス線作業主任者を専任しなければなりません。
満18歳以上で、公益財団法人安全衛生技術試験教会が実施する国家試験に合格すれば、エックス線作業主任者の免許を取得できます。試験を受ける際は、本人確認証明書の添付が必要になりますので、ご注意ください。
「診療放射線技師免許」「原子炉主任技術者免状」「第1種放射線取扱主任者免状」を持っている人は、国家試験を受けずに、そのままエックス線作業主任者の免許を得ることができます。
これらの免許試験に合格している人は、勤務地を管轄する都道府県労働局長にエックス線作業主任者免許の交付を申請する必要があります。
エックス線作業主任者の資格を有することで、非破壊検査業務や分析装置の設計開発、医療機器のサービスエンジニア、特許調査業務(分析分野)などの業務に就く際に有利になることも、エックス線作業主任者の資格取得を目指す人が多い理由のひとつだと言えるでしょう。
試験内容
法令に基づくエックス線作業主任者の試験内容は、「エックス線の管理に関する知識」「関連法案」「エックス線の測定に関する知識」「エックス線の生体に与える影響に関する知識」の4科目。各科目10問ずつの、合計40問になります。
試験は、「エックス線の管理」「関連法案」で2時間、「エックス線の測定に関する知識」「エックス線の生体に与える影響に関する知識」で2時間の計4時間となっており、それぞれの科目ごとの得点が40パーセント以上、合計点60パーセント以上が合格の基準です。
第2種放射線取扱主任者免状を持っている人は「関連法案」「エックス線の測定に関する知識」の2科目、ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許を持っている人は、「エックス線の測定に関する知識」の1科目が免除されます。この場合、前者は午前のみで試験が終了し、後者は午後の試験時間が1時間になります。
受験料
エックス線作業主任者試験の窓口は、安全衛生技術試験協会です。まずは安全衛生技術試験協会から受験申請書を取り寄せるか近隣の消防署から手に入れ、書類を作成する必要があります。
受験料6,800円(税込)を銀行もしくは郵便局から振り込んだのち、その用紙を申請書に添付し、自身の写真を張り付けて郵送してください。
申請書そのものが30ページ以上の冊子になっており、作成例なども掲載されているので、申請そのものに迷うことはありません。
申請書を郵送しなければならないため、締め切りに遅れないよう、早めに申込むことをおすすめします。
試験日程
エックス線作業主任者の免許試験は、全国に7カ所ある安全衛生技術センターで定期的に実施されています。この実施頻度は各センターで異なりますが、通例は、年に3回から 6回です。試験の日程はおおむね定められており、午前中にはエックス線の管理に関する知識、関係法令に関する問題が出題され、いったん休憩に入ります。
その後、午後に入ってからエックス線の測定に関する知識、エックス線の生体に与える影響に関する知識に関してそれぞれ解き、試験は終了となります。
なお、試験概要にも第二種放射線取扱主任者免状を受けている人やガンマ線透過写真撮影作業主任者免許試験をパスした人は一部科目の受験が免除されるとあります。その場合は免状などの写しを申込み時に必ず提出するようにしましょう。
北海道センター、東北センター、関東センター、中部センター、近畿センター、中国四国センター、九州センターの7カ所が遠い地方については、出張試験も行われており、受験する機会も多いと言ってよいでしょう。
各センターでの試験実施日については、公式URLなどで確認してください。
難易度(受験者数、合格者数、合格率など)
各センターで実施されるエックス線作業主任者の総受験者数は、年間で5,000人から6,000人ほど。そのうちの合格者は、50パーセントほどになっています。
合格基準は、全体で6割以上の正答率で、かつ各科目の正答率が4割を下回っていないことです。専門性が高い分野の資格になるため、毎年の受験者数としてはさほど多くありません。エックス線に精通した人が受験した結果、2人に1人が不合格となっているのは、難易度としても低いとは言えない結果です。合格率は高い年で60%近くに達している一方で、低い年だと合格率が50%を下回るときもあります。合格基準が変わらないことを考えると、問題の難易度は年によって多少変動していることが分かります。
エックス線作業主任者の資格に関する公式URL
https://www.exam.or.jp/exmn/H_shinsei.htm
勉強時間目安
すでに述べた通り、エックス線作業主任者の試験は、4科目から成っています。この4科目でそれぞれ10問出題されますが、それぞれの科目で配点が異なることにご注意ください。
「エックス線の管理に関する知識」の配点が30点、「関係法令」 が20点、「.エックス線の測定に関する知識」が25点、「エックス線の生体に与える影響に関する知識」が25点となっています。配点に応じて勉強時間の目安となる時間をそれぞれ算出することができますす。
各科目の得点が40パーセント以上、かつ合計点が60パーセント以上であることが合格基準になっていることを考えますと、まずは「エックス線の管理に関する知識」で確実に得点することが重要と言えます。
合格基準を満たすためには、「エックス線の管理に関する知識」で7問、「関係法令」で5問、「エックス線の測定に関する知識」で6問、「エックス線の生体に与える影響に関する知識」で6問正解すればよいという計算になり、このラインを設定して、効率的に勉強をしてみるのもおすすめです。
各科目に関連するエックス線の基礎知識を中心に勉強し、法規については半分程度の得点を目指すという方針で、暗記勉強の負担を削減することもできます。ただし、エックス線の基礎知識は、数式を使って計算したり、物理現象を理解したりと、4つの分野で一番難しい分野でもあります。法規問題は、暗記をしていれば確実に点数を得られるので、計算が苦手という方は、法規問題で全問正解するつもりで臨むのがよいかもしれません。
その場合はテキストを読みながら暗記するのではなく、過去問を数多く解きながら覚えていくのが効果的です。配点に考慮しながら、ご自身の得意分野、履修履歴にあった方法を選びましょう。
エックス線作業主任者試験の勉強は独学を選択する方が多いですが、独学に不安を感じる人は、東京と大阪で開催されているエックス線作業主任者の講習会に参加してみることもおすすめです。独学で得た知識に加えて、講習会で詳しい解説を補うことで、効果的に学ぶことができるでしょう。
一方で、東京や大阪の講習会に参加できない、独学にこだわりたいという人は、過去問を繰り返し解き、出題の傾向や頻出問題をチェックしながら実践的な学習をするのがよいでしょう。
勉強を始めるにあたっては、まず、公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページからダウンロードできる直近2回分の過去問を解いて、現在の知識レベルを確認することから始めます。
ここで知識が不足しているとわかった項目は、参考書に目を通すなどして基礎知識を補充してください。点を得られ、基本知識があると判断した場合は、過去5年分の過去問を何度も解いていきます。
勉強期間は、4科目で200時間強を見込んでおきます。これは、1日に2時間勉強すると仮定して、4カ月ほどの勉強期間ということになります。
試験日から逆算して、計画的に勉強をスタートしましょう。
おすすめ参考書ランキング
エックス線作業主任者試験の参考書はあまり豊富ではないというのが現状です。
その中でランキング上位に位置する、いちばんにおすすめしたい人気の参考書は、平井昭司・佐藤宏・上島久正・鈴木章悟・持木幸一の共著『エックス線作業主任者試験徹底研究』です。エックス線作業主任者試験対策のバイブルのような存在で、試験科目と同じ4つの章で構成されており、分野ごとに学習することができます。
各節内では、最初に出題傾向や試験で出題されやすい重要ポイントを簡潔に示してくれているので、頻出分野を含めどのような点を重点的に学習すればよいのかを簡単に把握することができます。掲載されている問題数も多く、効率的な学びを実現するためのテキストと言ってよいでしょう。
「log計算」に関しては、テキストを始める前に、高校レベルの基本式を押さえておきましょう。「log計算」関連で出題される問題は、毎年似たような傾向がありパターン化されています。そのパターンを把握して解答方法を身につければ、得点するのも容易でしょう。
ただし、中学くらいから数学が苦手になったという方にとっては、試験対策用のテキストに載っている解説を読んだだけでは理解できないかもしれません。そこで、エックス線作業主任者試験の計算問題に役立ちそうなテキストをご紹介します。「坂田アキラの指数・対数が面白いほどわかる本」です。こちらは、まったく知識がないという方でも1から学べるような優しい解説がされているので、指数・対数が苦手だという方は、このテキストで初歩的な学力を身に付けられるはずです。
そして、各問題を非常に詳しく解説している『エックス線作業主任者 過去問題・解答解説集』も押さえておきましょう。この問題集には過去8回分の過去問が掲載されており、これを3回ほど繰り返し解けば、出題傾向がはっきりとわかってきます。
合格を確実なものにするためにも、勉強時間をしっかり確保し、自分に合った勉強法を見つけてみましょう。