受験資格
日本糖尿病療養指導士を受験するためには、以下4つの条件をすべて満たす必要があります。必須の保有資格や実績の条件など、日ごろから糖尿病の療養指導に当たっていないと満たせないものが多いため、自分が受験資格を得られるのかどうかも含め、しっかり確認しておきましょう。
まず、必須の保有資格は看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士の5資格です。
実績面での条件は3点あります。
1点目は、過去10年以内に2年以上継続して患者の療養指導を行い、うちその期間内に通算1,000時間以上、糖尿病患者に対して療養指導を行っていることです。
単なる勤務時間ではなく、実際に療養指導をしていた時間でカウントしなければいけません。1日2時間が療養指導の時間であれば、500日必要になる計算です。
2点目の条件は、受験者は「常勤または非常勤の日本糖尿病学会専門医」または、「日本糖尿病学会の会員で糖尿病の診療と療養指導に従事している常勤の医師」から、糖尿病患者の療養指導に関する指導を受けている必要があります。
3点目は、1点目で挙げた期間中にその医療機関で糖尿病療養指導をしたという自験例が10例あることです。
勤務している医療機関の条件は3つ。1点目は、受験者を指導する条件でも出てきた「常勤または非常勤の日本糖尿病学会専門医」または、「日本糖尿病学会の会員で糖尿病の診療と療養指導に従事している常勤の医師」か勤務していることです。
2点目は、糖尿病患者を常に外来で診察していること、3点目は糖尿病患者への教育や食事指導が常に行われていること、となります。
受験資格を得るには、日本糖尿病療養指導士認定機構が開催する講習会を受講し、受講修了証の発行を受けていなくてはなりません。毎年6~7月中旬に講習会の申し込み受付があり、講習会を受講します。受講はe-ラーニングで、講習料金は30,000円(税込)です。
試験内容
試験日に行われるマークシート式の試験150問です。午前中は病態が中心で、午後は療養指導が中心の問題が出題されます。特に、午後の療養指導はガイドブックの後半3分の1に当たりますが、問題の割合は午前午後ともに75問のため、出題比率の高い分野です。
午前・午後の出題分野は以下のように分けられます。
【午前の出題分野】
1. 糖尿病療養指導士の役割・機能
2. 糖尿病の概念、診断、成因、検査
3. 糖尿病の現状と課題
4. 糖尿病の治療(総論)
【午後の出題分野】
5. 糖尿病の基本治療と療養指導
6. 糖尿病患者の心理と行動
7. 療養指導の基本(患者教育)
8. ライフステージ別の療養指導
9. 合併症・併存疾患の治療・療養指導
10. 特殊な状況・病態時の療養指導 支援方法
分野としては午後の方が多いように見えますが、ガイドブックのボリュームから言うと午前の4分野で3分の2、午後の6分野で3分の1の割合です。働いている分野により、得意・不得意分野は分かれますので、自分が日頃仕事でかかわりの薄い分野を強化するように勉強の計画を立てましょう。
試験の採点では、認定委員会・試験委員会の合同で毎年最低合格水準が決められ、その水準に達していれば合格となります。毎年変わる基準なので、具体的に何割正答すれば良いのかは明確ではありません。とにかく、少しでも多く正答することが重要です。
受験申請時に提出する「糖尿病療養指導自験例の記録」10症例も、合格の判断材料に使用されます。10症例は、同じような症例を書くのではなく、それぞれ特色のある10症例を選ぶことが合格に近づくコツです。
10症例を選んだら、同じような症例ばかり選んでいないかのチェックを忘れずに行いましょう。フォーマット入力は時間がかかるので早めに取り掛かることをおすすめします。
受験料
受験料は20,000円(税込)です。受験料の中には、受験資格審査料5,000円(税込)を含みます。
試験日程
試験は、毎年3月の第2日曜日に開催されます。試験時間は午前と午後に分かれ、合計4時間です。
難易度(受験者数、合格者数、合格率など)
第18回(2017年度)における、資格別難易度は受験者数1,646名、合格者数1,455名、合格率88.4%でした。保有資格別の合格数は以下の通りです。
【看護師】
受験者数767名、合格者数641名、合格率83.6%
【管理栄養士】
受験者数388名、合格者数360名、合格率92.8%
【薬剤師】
受験者数245名、合格者数236名、合格率97.6%
【臨床検査技師】
受験者数74名、合格者数69名、合格率93.2%
【理学療法士】
受験者数172名、合格者数146名、合格率84.9%
いずれも8~9割前後の合格率ですが、これは受験資格で豊富な実績を求められるため、基礎的な知識は持っている人が受験しているため合格率が高いと考えられます。
仕事が忙しい人は、なかなか勉強時間を確保しづらいですが、時間を決めて、生活の中で勉強時間を組み込み、計画的に受験勉強を進めましょう。
時間の取りやすい通勤電車の中、あるいは朝1時間・寝る前1時間など、自分の生活習慣に合わせた時間確保が合格への第一歩です。
日本糖尿病療養指導士の資格に関する公式URL
一般社団法人 日本糖尿病療養指導士認定機構 http://www.cdej.gr.jp/
勉強時間目安
日本糖尿病療養指導士の勉強時間の目安は165~170時間です。日本糖尿病療養指導士の受験者はテキストでの勉強の他に、日本糖尿病療養指導士認定機構が提供しているe-ラーニングという受験者用講習を受けることが必須です。e-ラーニングとはビデオ・オン・デマンド形式で配信されている講習です。e-ラーニングでの標準学習時間は15~20時間程度です。初回は順番に受講する必要がありますが、一度受講した講座は何度でも繰り返し見ることが可能です。e-ラーニングの後は、11月~3月初旬の受験日までに150時間以上確保するようにスケジュール調整し、勉強法を確立しましょう。
日本糖尿病療養士認定機構が出版する「糖尿病療養指導士ガイドブック」という本があり、日本糖尿病療養指導士の試験は原則としてこの本に沿って出題されます。そのため、まず、毎年10~11月にe-ラーニングでの講習会を受講するタイミングで、ガイドブックの内容はひと通り頭に叩き込むよう集中します。
e-ラーニングの講習が完了したら、いよいよ勉強を開始しましょう。糖尿病療養指導士ガイドブックでの勉強を進めると同時に、『試験対策問題集 糖尿病療養指導のための力試し300題』という参考書の問題を解きましょう。解説がついているので、問題を解いた後は解説を読んでしっかり理解しましょう。間違った問題はチェックしておき、後から間違わなくなるまで繰り返し説くことで効率の良い勉強が可能です。
講習会後は、仕事も忙しくてなかなか時間が取れないかもしれませんが、1日10問問題を解くと2月までの4ヶ月で4回以上は「300題」を繰り返し勉強することが可能です。
1日10問の問題を解いて解説を読む時間を1時間と計算すると、1ヶ月当たり30時間、1月までの3ヶ月で90時間の勉強時間プラスe-ラーニングの講習会の学習時間が勉強時間の目安になります。
受験直前の1ヶ月は、もう少しまとまった時間を取って勉強できればベストです。2月は問題集を変えて、実力がついているか総仕上げをしましょう。1日1分野分の問題を解くと10日で全分野の問題が解けます。この頃には、解説を読まなくても理解ができるようになってきているはずなので、問題の進みも早くなっているでしょう。2月から試験日までは、1日当たりの勉強時間を2時間に延長して1か月当たり60時間程度の時間を確保してください。
おすすめ参考書ランキング
日本糖尿病療養指導士試験用の参考書は、研修時に使う「糖尿病療養指導士ガイドブック」が基本です。まずはガイドブックの内容をしっかりと頭に叩き込みましょう。そして、ガイドブックの内容をきちんと理解しているのかを、実際の問題形式で確認しながら繰り返し学習しましょう。日本糖尿病療養指導士試験を合格に導いてくれる、おすすめの参考書籍をランキング形式でお届けします。
【第1位:必読!】
『糖尿病療養指導ガイドブック 2018―糖尿病療養指導士の学習目標と課題』
毎年日本糖尿病療養指導士認定機構が出版しているガイドブックです。研修のテキストであり、試験の内容は全てここから出題される最重要参考書です。内容をすべて覚えるぐらいまで繰り返し熟読しましょう。毎年5~6月ごろに販売が開始されます。
講習会は10~11月までなので、講習会前に自習のため目を通しておいても良いですが、講習会で集中して読む方が頭に入りやすいタイプの方は、講習会の際に集中して読むようにしましょう。
講習会はe-ラーニングになりましたが、会場で開催される講習会は、2日間で8時間でした(会場での講習会は2017年度で終了しています)。
【第2位:ガイドブックの知識を確認できる問題集を】
『試験対策問題集 糖尿病療養指導のための力試し300題』
力試し用問題集として人気の参考書です。2,3年おきにアップデートされるので、常に最新の傾向をふまえた内容です。問題の解答にはそれぞれ解説がついているので、何度も読み込むことでしっかりと理解することができます。過去に出題された問題を可能な限り復元して、復元度をA~Dの四段階で明示している点も親切です。
1度目は頻出分野に重点を置きながらとにかくすべて解き、間違った問題の解説を熟読しましょう。2度目は間違ったところだけを確認する意味で解いていきます。3度目は、2度目で間違ったところだけを解き、最終的にすべて間違わなくなるまでとけるようになったら、改めてすべての問題を頭から解いていきましょう。
このように勉強を進めることで、自然と苦手分野の問題を繰り返し解くことになり、弱点の強化につながるので、合格をつかみ取れるまでになるでしょう。
【第3位:勉強時間に余裕があれば仕上げに利用したい】
『糖尿病療養指導士 受験必修再現過去問集【応用編】2019年度版』
時間に余裕があれば挑戦したい問題集です。上記2冊をマスターした実力で、どこまで解けるか挑戦しましょう。試験日まであまり余裕がないなら本書には手を出さず、ここまでご紹介した2冊を完ぺきに仕上げるように注力してください。