医療の現場において、血液検査や心電図検査などさまざまな臨床検査に携わり、診断を下し治療を進めるためのデータを作成するのが、臨床検査技師の仕事です。そんな国家資格である臨床検査技師ですが、資格を取るための試験の受験方法はどのようなものなのでしょうか。また、有資格者はどんな職場で活躍しているのでしょうか。それぞれご紹介します。
臨床検査技師の国家試験受験には資格がある
臨床検査技師は国家資格であり、資格を取得するには国家試験に合格しなければなりません。国家試験を受験するには、定められた受験資格を満たしている必要があります。その条件とは、「文部科学省指定の大学や3年制以上の指定の短期大学、専門学校(臨床検査技師養成所)を卒業している、または卒業見込みである」というものです。
他にも、医師免許を受けた人など詳細な条件があります。くわしくは厚生労働省のホームページで確認できます。(厚生労働省のホームページ)
試験の合格者は学校の新卒者が多く、指定の学校に入学して卒業時に国家試験合格を目指すのがもっとも一般的なコースになっています。大学や養成所に合格することが、臨床検査技師になるための第一歩になります。ただし、学校によって合格率やカリキュラムに多少差があるので、しっかりと調べてから志望校を決めると良いでしょう。
試験の合格率は80%近いので、学校でしっかりと勉強して受験すれば、それほど難しくはありません。学校では、必要な知識や技術のほか、患者とのコミュニケーション能力を身につける教育もあります。
臨床検査技師の国家試験とは
臨床検査技師の国家試験は年1回あり、2月中旬ごろ、全国各地に試験会場が設けられて実施されます。
まずは願書を手に入れて、必要な書類を作成します。指定の学校のほか、厚生労働省や臨床検査技師国家試験運営本部事務所の窓口でも配布されます。もしくは、郵送での請求も可能です。
願書の提出は12~1月です。受験料分の収入印紙を貼って出願します。出願方法は郵送のほか、受付窓口への持参も可能です。
試験科目は平成30年度の場合、医用工学概論、公衆衛生学、病理組織細胞学、臨床微生物学など10科目です。例年、6割程度の正解率で合格となります。
合格者の発表は3月下旬、厚生労働省や各地の臨床検査技師国家試験運営臨時事務所で受験番号が掲示されます。合格者には都道府県知事を経由して、厚生労働大臣から免許が与えられ、晴れて臨床検査技師の有資格者となることができます。(参考:厚生労働省HP)
臨床検査技師の活躍の場はどんなところ?
臨床検査技師の有資格者の活躍の場として一番多いのは、やはり病院などの医療機関です。規模が大きい総合病院や大学病院、検査センターなどでは検査施設も充実しているため、多くの臨床検査技師の需要があります。また、保健所や動物病院でも需要が増えています。
しかし、医療機関だけに限らず、さまざまなところにも臨床検査技師のニーズはあります。衛生研究所や製薬会社、食品メーカー、大学の研究室などにも活躍の場はあるのです。
血液検査や心電図、脳波などの検査が必要な場合は、臨床検査技師の出番があるというわけです。
臨床検査技師の検査により提供されたデータは、病気の早期発見や的確な診断、商品の開発などに役立てられます。裏方的な仕事ですが、常に正確な検査結果を出すことが求められる仕事でもあります。
一方で、検査の自動化などで臨床検査技師の需要が減少する傾向もあります。診療放射線技師や細胞検査士といった資格も取得するなどして、より幅広く対応できることを目指す臨床検査技師も少なくありません。
国家資格である臨床検査技師。資格を取っておけば、検査のスペシャリストとして医療の現場や企業などで人々の健康を守るための仕事に就くことができます。また、ブランクができた場合も、再就職するときの武器になります。興味を持ってやってみたいと思ったら、まず資格の取れる学校で学び、臨床検査技師の資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。