臨床エンブリオロジストは、不妊治療の研究所で活躍する専門の技術者です。この名前を初めて聞いた人がほとんどではないでしょうか。
そこで、ここでは臨床エンブリオロジストの仕事内容や活躍の場などを紹介します。
臨床エンブリオロジストってどんな仕事?
臨床エンブリオロジストは、不妊治療の際に行われる人工授精に関わる専門職です。日本では、不妊治療における診察や卵子の採取、胚移植は産婦人科医が行います。しかし、培養液を作成して受精を促し、受精確認後に胚を育てるのは、臨床エンブリオロジストの仕事となっています。臨床エンブリオロジストの主な仕事は次の通りです。
- 精液検査
- 良好精子の収集
- 医師が採取した卵胞液から卵子の収集と培養を行う
- シャーレ内で精子と卵子を一緒に培養し、受精を促す
- 顕微鏡受精および確認と胚の育成
- 精子や胚の凍結保存や融解、孵化の補助などの処置
臨床エンブリオロジストに必要な条件は?
臨床エンブリオロジストは、日本臨床エンブリオロジスト学会で所定の研修・試験を受講することで得られる認定資格です。研修を受講できるのは、以下の条件に当てはまる人です。
- 臨床検査技師
- 獣医
- 畜産、農学生物系学部卒業者
- 医師
- 看護師
ただし、異なる学部卒や高卒でも生殖補助医療の研究所で働きながら活躍している人もいます。上記に当てはらまなくても、臨床エンブリオロジストへの道が閉ざされたわけではない点に注意が必要です。
年収や活躍の場は?
臨床エンブリオロジストが活躍する場所は、不妊治療を行っている医療機関となります。具体的には、産婦人科を備えた大学病院などの総合病院や、産婦人科医院、不妊専門クリニックなどです。
平成13年に認定資格として始まった新しい資格ですので、臨床エンブリオロジストの資格を募集要項に掲げている求人はほとんど見られません。ただし、エンブリオロジストや胚培養士としての求人が多く見られ、経験者は優遇される傾向にあります。
また、初心者でも臨床エンブリオロジスト研修の受講資格がある臨床検査技師などの募集はよく見られます。臨床検査技師など他職種からの転職に向いている資格と言えるでしょう。
年収は400万円程度ですが、資格取得費用や学会参加費用などを補助する病院がほとんどです。
近年、不妊治療を望む人が増加しており、治療の助成金を出す自治体も出てきていることから、不妊治療を行う人はますます増えることが予想されます。
そのため、臨床エンブリオロジストは今後需要が増える資格と言えます。胚の培養や人工授精に興味がある人は、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。