"臨床工学技士の仕事は一般的に、多くの病院で必要とされており、将来的にも安定していると考えられています。事実、一度就職すると、なかなか辞める人も少なく長い間同じ施設で働くことも多いようです。しかし、今の仕事が本当に自分に合っているのか疑問を感じている人もいるでしょう。また、違う仕事もしてみたいといった人もいるかもしれません。
そこで、ここでは臨床工学技士はどのような仕事があるのか、また具体的にどのようなことを行うのかなど紹介していきます。臨床工学技士として働いている方は、知っていることも多いかもしれませんが、もういちど確認してみましょう。
臨床工学技士の具体的な仕事内容
臨床工学技士になるには、臨床工学技士を養成する4年制大学・短大・専門学校を終了し、国家試験に合格してはじめて働くことができます。働く場所は、病院、クリニック。医療機器メーカーなどです。
仕事内容は、以下の通りになります。
・人工呼吸器の操作・維持・管理
・人口心肺の操作・維持・管理
・血液透析療法・血漿交換療法など透析業務
・手術室で医療機器の操作や管理
・手術の後の集中治療室での治療や、生命維持管理装置の操作・管理
・血液カテーテル検査などの操作
など多岐に分かれます。
医師のように直接患者の治療をすることはありませんが、患者の症状に合わせて医療機器を安全・スムーズに動かすには、専門性の高い臨床工学技士はなくてはならない存在です。医療機器はもちろん、医療についても常に新しい知識を身に着ける必要があり、研修や勉強会など常に勉強が必要となります。医師・看護師などとチームを組んで仕事をおこない、患者と直接かかわることもあるので、コミュニケーション能力も必要となるでしょう。
臨床工学技士がキャリアアップにつながる技術とは
臨床工学技士は多くの知識を必要としますが、その中でも「心臓カテーテル」や「人工心肺」などという重要な業務もあります。「心臓カテーテル」は造影検査や血管内治療など手首や足の付け根から髪の毛より細いカテーテルを入れ、心臓に運びます。
その細いカテーテルを心臓の血管へ流しいれて、造影剤をいれ血管が詰まっていないかなど検査をします。そこで、細くなった血管があれば、バルーンやステントといったものを使い治療をおこないます。
また心臓のペースメーカーの治療にも携わります。ペースメーカーは、徐脈性の不整脈にする治療です。ペースメーカーを植込み、心臓のリズムを整える治療を行います。埋め込んだあとも、定期的にペースメーカーのチェックなどが必要になります。
臨床工学技士はペースメーカーが問題なく動いているか、電池は残っているかなどデータをもとに確認します。特に大学病院や総合病院では、このような治療に携わる可能性があります。今まで、まったく違う業務をおこなっていた臨床工学技士は、このような新しい知識を取り入れてキャリアアップや年収アップにつなげましょう。
臨床工学技士の待遇は
臨床工学技士は大学病院や総合病院など、救急医療をおこなう施設でも多く働いています。緊急治療をおこなう施設では、いつ患者が病院に来るかわからないため、当直や残業が多くなります。そのため、残業代で給料が増えることもあります。しかし、福利厚生といった面では恵まれており、施設によっては有給もとりやすくなります。
また、透析専門クリニックなどでは、残業が少なく定時で帰ることができる施設も多いようです。しかし、大学病院や総合病院に比べては、少し給与は下がる傾向がみられます。透析など自分の専門分野を追及したい方には、クリニックはおすすめです。
20代は特に給与が少なく、仕事に慣れるまで時間がかかりますが、30代を超えていくと少しずつ給与はあがっていきます。また手術室業務や透析業務など多くの経験や知識が増えると、転職しやすく給与も増えていきます。まだまだ人材不足の施設も多いので、これからももっと必要とされる資格でしょう。(参照:「平均年収.jp」)
勤務する病院や施設にもよりますが、臨床工学技士はとても幅の広い仕事を経験できるでしょう。20代のうちにいろいろな経験をしておきたい方は、大学病院や総合病院など、また一つの業務を追及していきたいという方は、透析クリニックを選ぶ方もいるでしょう。自分が将来どのような仕事をしていきたいのか、できるだけ早く決めておきましょう。