血液浄化療法(アフェレシス療法)は慢性腎不全・肝不全・敗血症などの患者が行う血液透析療法です。血液の中にある有害な物質を取り除く治療法で、病気の改善を促します。腎臓は、正常であれば、血液の中から余分な老廃物や水分を糸球体でろ過し、尿細管を通ったあと、再び体に必要な成分を吸収させ、残った老廃物や水分は尿として排出されていきます。しかし、腎臓が正常な働きをしなくなると、糸球体のろ過機能が低下し、体の中の余分な老廃物や水分が排出されなくなります。慢性腎不全は、自覚症状が乏しい方が多く、「症状に気が付いたころには悪化していた」ということも多い病気です。慢性腎不全になり腎臓の機能が低下しまうと、元の状態に戻すことは難しくなります。そのため、腎臓移植をしない限り、生命を維持するためには血液浄化療法を続けなければ普通の生活を送るのが難しくなります。現在では、血液浄化療法は、急性腎不全・慢性腎不全・多発性硬化症・腎炎・膠原病など、30以上の病気に適用されています。病気によっては、治療法や治療回数などが異なります。
血液浄化療法(アフェレシス療法)の種類
血液浄化療法の代表的な治療には3種類あり、病気の種類ごとに異なった治療法を行います。血液製剤を使うので、患者に十分な説明と同意が必要です。
単純血漿交換療法
体の外に排出した血液を血漿分離膜によって、血球成分と血漿成分に分離させます。そのあと、分離した血漿成分を除去し、体の中に新しい血漿成分またはアルブミン用液などを補充する治療法です。
血漿灌流療法
体の外に排出した血液を、血漿分離膜によって血球成分と血漿成分に分離させます。そのあと、分離した血漿成分を吸着器に通し、病気の原因となる物質を除去させ、アルブミンなどの補充液を体に戻す治療法です。
直接血液灌流療法
患者から採取した血液を直接吸着器に通し、取り出した血液から病気の原因となる物質だけを選び、その成分だけ除去させる治療法です。
血液浄化療法のメリット・デメリット
血液浄化療法は、体から不要な老廃物や水分などを排出する治療法で、薬に比べて副作用が少ない治療法と言われています。
ステロイドなどの薬を使った治療で効果が得られない方にも、有効な治療法だと考えられています。場合によっては、子供や妊婦など薬の制限がある人でも治療を受けられるというメリットがあります。
現在では、慢性腎不全の他にもいろいろな病気に適用範囲が広がり、病気の種類によって治療法を変えるなどと、新しい治療も開発されています。
ただし、血液浄化療法を行うには特殊な機器が必要になるため、治療を行える場所は限られています。また、血圧が低下したり、出血が起きたり、細菌感染が起きたりと、いろいろな副作用が予測されるため、十分な体調管理が必要になります。また、人工透析の治療を行う方は、2週間に3~5回病院で治療を行わなくてはいけません。治療をしなければ生命にかかわることもあります。