診療放射線技師の需要は高いので、認定を取りたいと考えている人は少なくないでしょう。また、現在診療放射線技師として働いていて、待遇や職場の雰囲気に納得してない人は、転職を検討されている方もいるでしょう。
今回は、診療放射線技師が働ける場所や求人についての基礎知識をご紹介するので、認定を取りたい方や転職を考えている人はぜひチェックしてみてください。
診療放射線技師が働ける施設について
診療放射線技師が働ける施設はたくさんあります。まずは、どのような施設で働けるのかをご紹介します。
働ける施設のひとつに、病院が挙げられます。病院は治療も目的としていますが、検査をする機会も多いです。検査機器の中にはレントゲンやMRIなど、放射線を使用するものも多いので、診療放射線技師の力が必要になります。
検査施設も、働ける場所のひとつです。実は、診療放射線技師になった人の大半が病院か検査施設で働いています。
病院や検査施設よりも働く人が少ないですが、医療機器メーカーで働く人もいます。医療機器メーカーとは、検査装置などの医療機器を開発する企業です。
製薬会社でも診療放射線技師は働けます。製薬会社はお薬を開発する会社です。
このように、診療放射線技師が働ける施設はたくさんありますが、それぞれの働く場所でお仕事内容が異なるのをご存知でしょうか。では、具体的に働く施設によってどのようなお仕事を任されるのか見ていきましょう。
病院で働く診療放射線技師の仕事内容について
病院で働く診療放射線技師の仕事内容は、診療業務と診療外業務があります。診療業務の中でも画像診断、核医学検査、放射線治療に分類できます。
ではまず、画像診断ではどのようなお仕事を任されるのか見ていきましょう。
診療治療の画像診断に含まれるお仕事には、単純X線撮影があります。単純X線撮影は、別名レントゲンと呼ばれ、馴染み深い医療機器です。単純X線検査で骨が折れている箇所を確認できますし、病気なども確認することができます。
そのため、さまざまな診療科目で取り入られている医療機器です。診療放射線技師は、単純X線検査を受ける患者さんに指示をして、正しいレントゲン写真が出来上がるように努めます。
例えば、患者さんがネックレスやピアスなどの金属類を身に着けていると正しくレントゲン撮影ができないので、外すように促したり、検査着に着替えたりするように勧めるのも仕事のひとつです。
乳房X線撮影も、診療放射線技師が診療治療の画像診断で行うお仕事です。乳房X線撮影は、乳がんなどを発見するために撮影されます。別名、マンモグラフィと呼ばれます。診療放射線技師は患者さんの状態に合わせて、「撮影する時は息を止めて下さい」などの指示をして、乳がんなどが見つけられるように撮影をします。
骨塩定量検査は骨密度を調べる検査で、診療放射線技師が担う仕事内容のひとつです。骨塩定量検査をすることで、患者さんが骨粗しょう症かどうか知ることができます。
そのほかにも、診療治療として行う画像診断には、歯科X線撮影やパノラマ撮影など数多くの撮影・検査があります。
診療治療は、画像診断のほかにも核医学検査があります。核医学検査は通常の放射線検査とは異なり、ガンマ線という放射線を使用して検査をします。一般的な検査に比べて、核医学検査は脳腫瘍などさまざまな病気の早期発見ができます。
診療放射線技師が担う診療治療には、画像診断や核医学検査だけでなく、放射線治療もあります。放射線治療は、一般的にがん治療に用いられる治療方法です。近年、放射線治療はがん治療として注目されており、さまざまな病院で導入されています。放射線治療は放射線を扱うため、プロである診療放射線技師が対応するのです。
診療治療のほかにも、診療外業務というお仕事があります。診療外業務には、放射線機器管理や医療情報管理などがあります。放射線機器管理では、放射線機器が安全に使えるように、日常点検や保守点検を行います。医療情報管理では、患者さんのレントゲン画像などを安全に保管するように努めます。
現在ではカルテが電子化されており、パソコンでデータを管理する病院が増えています。そのため、診療放射線技師にはパソコン操作もスキルとして求められることがあるでしょう。
診療放射線技師を募集している病院の求人について
診療放射線技師として病院に勤めたり、転職したりするためには、求人に応募して書類選考や面接を受けなければなりません。診療放射線技師ができるお仕事はたくさんありますが、病院によって仕事内容は変わります。
例えば、一般撮影を診療放射線技師にお願いする病院や、血管撮影やマンモグラフィーなども対応できる人を探している病院もあります。そのため、仕事内容を事前に確認するようにしましょう。
公務員として働く診療放射線技師の仕事内容
診療放射線技師は、公務員として働くこともできます。公務員として働く場合、公立の病院や大学病院に勤めるのが一般的です。基本的に、仕事内容は民間の病院と類似します。
例えば、レントゲン撮影やMRI撮影を行い、患者さんの病状を確認します。仕事内容は民間と大きく変わりませんが、公務員なため安定しており、人気が高いです。
公務員の診療放射線技師の求人について
公務員の診療放射線技師の求人はありません。そのため、求人を見て応募することで公務員になるのは難しいでしょう。基本的には、職員採用試験を受けることになります。
各都道府県が実施している診療放射線技師の公務員試験に合格することで、診療放射線技師として働くことができます。合格すれば、県病院や国が管理する研究センターで勤められます。
公務員の診療放射線技師は、民間に比べて給料が少ないと言われています。公立の病院に勤めると、初任給は約19万円で年収は300万円から450万円ほどです。
また、大学病院で勤めることができれば、年収が約400万円から600万円になります。民間に比べて年収は低いですが、公務員なため社会的信頼性が高く、安定したお仕事に就くことができるでしょう。
診療放射線技師の研究者としての仕事内容について
診療放射線技師は医療施設で働くことがほとんどで、特に病院に勤めている方が多いです。しかし、そのほかにも働ける環境はたくさんあり、その中でも注目を集めているのが研究者としての仕事です。
例えば、医薬品や医療機器の開発・製造をしている会社が医療機器をつくりたい場合、専門的知識を持った人の力が必要不可欠です。
特に、その中でも診療放射線技師が使う機器の情報を知りたい場合は、診療放射線技師がいなければ開発を進めることは難しいでしょう。実際に求人を募集しているところは多く、病院以外で働けるチャンスでもあります。
また、放射線を扱う原子力発電所などでも診療放射線技師の力を必要しているところは多く、そこでは主に放射線の研究を行います。
最近では、研究者として診療放射線技師の力を必要としているところも増えています。そのため、病院ではなく研究者として働きたい場合は、診療放射線技師を将来の職業の候補に含めるなど、視野をできる限り広く持って進路の検討をした方がいいでしょう。
診療放射線技師の研究者の求人について
診療放射線技師に研究者として迎え入れたいと考えている企業は多く存在しています。
その中でも特に求人の数が多いのが、医療機器を製造、販売している企業です。主に医療機器の開発の研究者として求人が募集されますが、放射線治療に必要な機器をつくるためには、診療放射線技師など専門的知識がある人の力が必要不可欠です。求人の数も比較的多く、採用の幅も広いため、研究者になりたい人は企業への就職がおすすめです。
また、求人ではありませんが、本格的に自分で研究を進めたい人は大学への入学や、大学院へ進む方も少なくありません。世に出ていない新しいものを開発したい人にはおすすめです。
診療放射線技師として医療機器メーカーに就職した場合の仕事内容について
世の中には医療機器を開発しているメーカーがいくつか存在しています。医療機器の種類によっても異なりますが、放射線治療に使用する機器の場合は診療放射線技師など専門的知識のある人の力が必要です。
診療放射線技師の資格を持つ人が医療機器メーカーで働く場合、開発業務を主に担当します。例えば、これから新しく開発する医療機器に何が必要か研究したり、他にはない新しい機能の入った医療機器を研究したりするなど、幅広い分野の仕事に携われます。
また、開発業務だけではなく、診療放射線技師の資格を持っている人しかできない営業職もあります。例えば、医療機器をお客様に売り込む場合ですが、専門的知識のある人の方が説得力のある説明ができますし、知識がある人が説明するので、お客様にも理解されやすいです。
実際に資格を持っている人しか雇わない企業もあるので、診療放射線技師としての仕事ではなく、資格が役立つ仕事をしたい人は営業職を検討してみてはいかがでしょうか。
このように、医療機器メーカーでは診療放射線技師の資格が役立つ仕事が増えているのです。
診療放射線技師が医療機器メーカーに就職したい場合の求人情報
医療機器メーカーは全国にありますが、それぞれのメーカーによって開発している医療機器が異なるため、必要としている人材も変わります。
診療放射線技師の資格を活かしたい場合は、求人をチェックして診療放射線技師の資格が必要な医療機器メーカーを探しましょう。大人数の採用を行っている企業は少なく、資格以外にも実務経験の有無など細かく条件を決めているところもありますが、当てはまっている場合は採用してもらえる可能性が高いでしょう。
また、メーカーの場合、病院と違って夜勤はありません。そのため、夜勤が苦手な方でも安心して働ける環境の医療機器メーカーがほとんどです。
臨床開発モニターとして製薬会社で働く際の仕事内容とは
臨床開発モニターの仕事は、「治験を行っている医療施設に訪問をし、法律やルールを守って治験が行われていることを確認してから治験データを回収する」という内容です。
魅力としては、新薬開発に携われることでしょう。道のりは長く、何年もの月日が経過することもあります。壁にぶつかることもありますが、とてもやりがいのある仕事として人気を集めています。
臨床開発モニターとして製薬会社で働きたい人のための求人情報
臨床開発モニターをするためには、製薬会社への就職をすることが一番の近道となっています。しかし、日本の製薬会社はそれほど多くはないので、就職は狭き門と言われているのが現状です。
ただし、言い換えると、その狭き門を突破することさえできれば、収入も高く、安定した生活を送ることができると言えます。
製薬会社は、日本だけではなく海外にも多数存在していて、実際に海外の製薬会社も日本人の採用を募集しています。
その理由は、日本で新薬を販売できるようにするためには、日本で治験を行う必要があるからです。日本でスムーズに行うために日本人の採用を実施しているので、企業にこだわりがない場合は、海外への挑戦も検討すると幅が広がるでしょう。
今回は、診療放射線技師の資格を持つ人が役立てることができる仕事について紹介しましたが、働ける環境は増えています。
診療放射線技師の資格を持っていないと働けない場所もたくさんあるので、就職や転職を考えている方は、どんな仕事があるのかという点を詳しくチェックしておいた方が後悔しないでしょう。