「臨床工学技士は病院で働くもの」というイメージが強い方もいるのではないでしょうか。しかし、最近では働ける環境が増えてきています。これから資格を取得しようか検討している方や、既に臨床工学技士として働いている方、転職を考えている方のために、今回は求人情報について詳しく紹介します。
臨床工学技士が働ける施設とは
臨床工学技士が働ける施設は、病院や企業(メーカーや商社など)、学校の教職員、研究所などがあり、これらの施設では求人を募集しているところも多いです。
資格を取得することで臨床工学技士になることができますが、就職先として最も多いのが病院です。国立病院、大学病院、公立病院、私立病院、民間病院、クリニックなどでは多くの求人を募集しています。
臨床工学技士の中には企業や教育の道に進む方もいますが、全体的に見ると病院以外で働いている臨床工学技士はそれほど多くはありません。大半が病院関係の施設で働いています。
レーシックで働く臨床工学技士の仕事内容
眼科ではここ最近、レーシック手術を行っているところがたくさんあり、臨床工学技士もレーシック手術の現場に携わる場面が増えてきました。仕事内容は眼科によって異なりますが、一般的にはメンテナンスの立会い、レーザー機器の操作、医療機器のメンテナンス作業、OPE室介助、医療データー入力などがあります。
眼科で働く臨床工学技士は、レーシック手術の現場での業務が多いです。眼科は、基本的に診療時間が夜までとなっており、24時間診療をしているところはありません。病院と違って夜勤がない仕事なので、比較的働きやすい現場と言えるでしょう。
臨床工学技士がレーシックで働ける求人情報
臨床工学技士として、眼科でレーシック手術の業務に携わりたいと思っている方も多いのではないでしょうか。臨床工学技士というと、大学病院など比較的大きな病院で働いているイメージがありますが、実は最近では眼科でも求人を募集しているところはたくさんあります。
眼科ごとに求人内容は異なりますが、基本的には「臨床工学技士の資格を持っており、ある程度の実務経験がある方」であれば採用してもらいやすいです。中には「レーシック手術に携わったことがない人は採用されないの?」と思っている方もいるかもしれませんが、実はそうではなく、実務経験がある方なら採用してもらえる可能性が高くなります。これから臨床工学技士の資格の取得をして眼科で働きたい方は、実務経験なく就職するのは難しいかもしれませんが、既に臨床工学技士として働いており、転職を考えている方なら十分に採用のチャンスはあります。
眼科は、大きな病院に比べると比較的働きやすい環境が整えられており、年間休日も140日から160日以上のところもあります。プライベートの時間も充実しているので、魅力的です。
求人情報はそこまで多くありませんが、最近では臨床工学技士を雇いたいと思っている眼科も増えているので、全国的に求人情報が出ています。これからも求人は増えていくことが期待できるでしょう。
病院で臨床工学技士をする際の仕事内容とは
臨床工学技士が病院で仕事をする場合は、基本的に医師の指示を受けて生命維持管理装置の操作を行ったり、保守点検を行ったりします。ただ、このほかにも多くの仕事があるので、その内容を具体的に説明します。
まず、1つ目の仕事内容は、血液浄化療法業務です。例えば、患者さんの体内に老廃物が溜まってしまった場合、それを排出するために血液透析療法や血液濾過療法、血漿交換療法、血液吸着法などを利用して血液浄化療法を行います。
2つ目は、手術室業務です。手術は人の命を預かっている大切な現場となります。臨床工学技士はそんな大切な現場でも業務を行いますが、主な内容としては安全に手術ができるように機器の操作や管理を事前に行い、点検します。手術内容によっては点検する内容が変わることもあります。
3つ目は、集中治療室での業務です。ここは別名ICUと呼ばれる治療室ですが、主に心臓や頭など難しい手術を受けた後の患者さんや、体の機能が悪くなり、命に関わる状態の患者さんを収容して治療する病室です。臨床工学技士は、集中治療室で人工呼吸器や除細動器など生命維持の管理をしている装置の点検やメンテナンスを念入りに行います。
4つ目は、呼吸療法の仕事です。業務は急性期と慢性期の2つに分かれており、急性期では集中治療室で呼吸管理の延長が主な業務となっています。また、慢性期では神経や筋肉に疾患のある患者さんの呼吸管理をします。呼吸療法業務は比較的新しい分野なので、携わっている臨床工学技士は少ないのが特徴的です。
5つ目は、高気圧酸素療法の業務です。例えば、高圧から常圧状態に急に戻るなどの潜水病になってしまった患者さんがいる場合、高い気圧の下で酸素を吸引させる必要があります。吸引ができれば、血液中の酸素を増やすことができ、回復の見込みもあります。臨床工学技士は、その中でも主に酸素を吸入させる業務で、潜水病などの患者さんたちを救います。
6つ目は、医療機器管理業務です。臨床工学技士は、手術室の医療機器の管理などをすることがありますが、基本的には手術室に限らず院内すべての医療機器の管理を行います。院内の医療機器が安全に使用できているのは、臨床工学技士のおかげなのです。
病院での業務は主にこの6つです。他の施設よりも業務内容は多いですが、医療現場において必要な知識を幅広く学べるでしょう。
臨床工学技士の病院の求人情報について
臨床工学技士を最も必要としている現場は病院です。業務内容についても話しましたが、他の施設に比べるとやらなければならないことがたくさんあります。しかし、全ての業務を1人の臨床工学技士が対応することはほとんどありません。
臨床工学技士の求人はそれぞれ異なりますが、大学病院から民間の病院まで幅広い施設で募集しています。病院以外の施設では、基本的に1名以上の募集はかけていませんが、病院は1名から数名まで採用してくれるところもあり、比較的就職はしやすいです。
また、場所によっては臨床工学技士長の募集をしているところもあります。例えば、指導力があり、技術が優れているにも関わらず今の職場で出世ができないと悩んでいる方は、臨床工学技士長を募集している求人を選ぶことで、採用されればいきなり出世ができるチャンスもあるのです。
病院の求人情報は比較的多いですが、業務内容や給料、採用条件、休暇などはそれぞれ異なりますので、求人選びで失敗しないためにも慎重にチェックする必要があるでしょう。
臨床工学技士で研究者として働く場合の仕事内容とは
臨床工学技士は、国家資格の中でも比較的新しい分野です。基本的に、資格取得後は病院で臨床工学技士として働く方が多いですが、まれに研究者として働いている方もいます。ただ、研究ができる施設は限られており、主に大学や大学院へ進学する方が多いです。また、中には臨床工学技士として現場で長く働き、経験を生かして大学へ再入学し、研究を行う方もいます。臨床工学技士としての研究機関はまだまだ空きがあるので、興味がある研究をしたい人は、大学や大学院への入学をおすすめします。
臨床工学技士の研究者としての求人はあるのか
臨床工学技士の研究者としての求人は、病院によっては募集しているところもありますが、基本的にはまれでそれほど多くの求人があるわけではありません。
人によっては、病院で臨床工学技士の仕事をしながら研究もできる職場を選んでいる方もいますし、企業に就職して研究をしている方もいます。その他にも、就職ではありませんが、大学に入学して研究をする方法もあります。
臨床工学技士の公務員の仕事内容とは
臨床工学技士が公務員として働く場合は、主に病院での勤務になります。仕事内容は、血液浄化療法業務、手術室業務、集中治療室業務、呼吸療法業務、高気圧酸素療法業務、医療機器管理業務の6つがあり、これらすべての業務を行う所もあれば、循環器だけを専門にする所もあるので、必ずしも6つの業務を行うとは限りません。公務員の場合は、大学病院や国立病院、地方病院などが勤務先となるため、基本的には6つの業務を行うところが多いです。
臨床工学技士の公務員の求人について
臨床工学技士の公務員の採用を行う施設は、大きく分けると3つあります。国立、都道府県立、市町立の病院です。
国立病院は、国立病院機関が全国の様々な場所に置いている病院の1つです。全国に就職できる環境があるので、比較的採用されやすいと言えますが、転勤などの可能性もあるため、色々な場所を転々とすることも考えられます。しかし、国立病院は専門的な治療を行う施設も多いため、他ではできない症例を経験できるチャンスもあるのです。転勤を気にせず、色々な知識を身につけたい方は、国立病院を検討しましょう。
次に、都道府県立病院ですが、これはその名の通り都道府県が開設している病院のことを言います。県内に複数あるため、県内での転勤はありますが、国立病院のように遠くへ転勤する心配はありません。また、国立病院ほどではありませんが、都道府県立病院でも設備が充実しているので幅広い知識が学べます。
最後に市町立病院ですが、ここでは病院が不足しがちな地域で、市や町が中心となって開設された病院のことを言います。予算が限られているため、国立・都道府県立病院と比べると設備は揃っていませんが、周りに病院がないところがほとんどなので、多くの患者さんが訪れます。比較的忙しいですが、実戦的なことを学べる機会が多いので、技術力を高めることができます。
公務員の臨床工学技士は給料も安定していることから、人気が高いです。求人もたくさんありますが、公務員の場合はすぐに募集を締め切ることもあるので、しっかりとチェックしておくことが大切でしょう。
臨床工学技士としてメーカーで働く場合の仕事内容
臨床工学技士の資格を持っている人は、必ず病院に就職しなければならないことはありません。最近では、メーカーで働く方も増えています。
メーカーで働く場合ですが、仕事内容は主に営業や製造開発業務です。例えば、医療機器を扱う専門商社や総合商社、医療機器の製造を行うメーカーは、できる限り知識がある人を営業職や製造開発業務に迎えたいと思っているところがほとんどです。医療機器について知識のある臨床工学技士は有利なので、メーカーでも働けます。
自分の知識を生かして営業職に就きたい人や、製造開発業務で研究などをしながら商品を開発したい人は、メーカーへの就職を考えてみてはいかがでしょうか。
臨床工学技士のメーカーの求人について
医療機器の製造や販売を行っている企業は、全体的に見てもそれほど多いわけではありません。そのため、病院などで働くよりも就職の幅は狭まります。しかし、限られた人しか採用されないので、資格を持っていれば有利となるでしょう。
このように、ここでは臨床工学技士の施設別での仕事内容や求人情報について紹介しましたが、資格を取得すれば働ける環境はたくさんあります。しかし、それぞれの施設で異なる点はいくつかあるので、求人をチェックする際には後悔しないよう、慎重に選ぶようにしましょう。