アプリケーションスペシャリストとはどんな仕事?
診療放射線技師などの医療技術職が活躍する場所は、病院や施設などの現場だけとは限りません。医療系の国家資格を持つ人の中には、医療機器などを扱うメーカーで営業や開発などを行う「アプリケーションスペシャリスト」として働いている人もいます。しかし、聞きなれない仕事でもあるため、どんなことをするのかわからない人も多いでしょう。
そこで、この記事ではアプリケーションスペシャリストの仕事内容や活躍の場などを紹介します。
主な仕事内容は?どんな資格が活かせるの?
医療機器メーカーなどで働く技術営業職のことを「アプリケーションスペシャリスト」や「テクニカルスぺシャリスト」と言います。
両者に明確な区別はありませんが、アプリケーションスペシャリストは技術やモノに焦点を当てるのに対し、テクニカルスペシャリストはどちらかというと人にフォーカスした呼称であることが多いでしょう。
アプリケーションスペシャリストとして働いている医療技術職で代表的なのが、診療放射線技師です。なぜなら、医療機器メーカーでは画像診断装置や放射線治療器などの電気・機械系の医療機器を扱っていることが多いため、診療放射線技師の資格を存分に生かすことができるからです。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 営業支援
- 仕様検討
- 学会や展示会での製品デモンストレーション
- 製品導入前後のトレーニングの企画や実施
- トラブル時の対応などのサポート
アプリケーションスペシャリストの年収は?
実際にアプリケーションスペシャリストとして働き始めると、活躍する場所は違いますがいずれも医療機器メーカーでの活躍が多くなってきます。医師を相手に、その製品のシステムを説明しながら、仕様についても検討を重ね改善しながら製品力をアップさせていくことが必要です。
営業職のかたわら販促にも強力なバックアップが期待されていますから、年収も500万円を超える状況がおのずとついてくるでしょう。アプリケーションスペシャリストの年収は、「勤務する企業」「保有する資格」「年齢」「経験値」によっても変動があります。
- 臨床検査技師有資格者の未経験者:360万~400万円が平均的
- 診療放射線技師 過去8年間平均:約518万円
- 臨床工学技士32歳:589万円
これらは、あくまでも自己申告によるもののデータであるためブレを感じる方もいるかもしれません。しかし、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」2015年度の年収ランキングでは、11位という高順位にランクインしています。アプリケーションスペシャリストの年収が高水準であることはいうまでもありません。
資格を有する医学分野の技術者の方々は、生命に大きな影響がある高度な技術を要する装置を扱っています。経験値をあげてどんどん年収アップを狙えるお仕事です。
アプリケーションスペシャリストの仕事内容はこんな人に向いている
アプリケーションスペシャリストの仕事内容は、担当する医療機関のエリアや、先方の都合で動きを合わせなければならないこともあり、計画性が非常に重要になってきます。医療機関や展示会など、社外での活動が多くなるため、出勤や残業時間も一律ではないことが多い傾向です。病院で働く放射線技師のように当直・夜勤がない代わりに出張は多くなりますが、学会などの出席を除けば基本的に土日はしっかり休みが取れることも多いでしょう。
アプリケーションスペシャリストの仕事が向いている人のタイプは、プライベートと仕事をしっかり割り切って打ち込める人です。ボーナスや退職金などの福利厚生も手厚く、家族を養えるだけの収入は問題ありません。しかし、なによりも営業支援で自分の役割をしっかり勤め支えられる技術と経験が要求されます。
女性の中でもアプリケーションスペシャリストとしての業務を志望する方は多い傾向です。しかし、育児をサポートしてくれる体制が十分でないと、両立ができずに自らもつらい思いをしかねません。また、資格取得から未経験でスタートする上限は35歳位となっています。仕事の第一線で活躍しだす年齢は35~40代が多くなるため、資格取得は早ければ早いほどいいでしょう。
資格を活かして様々な場所で活躍が期待できる!
アプリケーションスペシャリストは、保持している資格によって活躍する場所が違います。診療放射線技師であれば、画像診断装置や放射線治療装置、医療用画像管理システム(PACS)、放射線科情報システム(RIS)などを取り扱う医療機器メーカーで活躍することが多いでしょう。
臨床検査技師の場合は、検査に関わる機器である生化学分析装置や血液ガス分析装置などを取り扱う臨床検査機器メーカーに多く在籍しています。
手術室で機械管理を行う臨床工学技士は、人工心肺装置、心臓ペースメーカーやIABP製品などの生命維持装置を取り扱う医療機器メーカーでの活躍が期待されています。
このように、医療機器メーカーがアプリケーションスペシャリストの求人を行う際には、その会社の取り扱う商品に応じた医療技術職を募集することが多いでしょう。新卒での採用はごくまれですが存在します。
つまり、アプリケーションスペシャリストは現場で直接患者さんと関わるのではなく、医療機器を通して患者さんの健康を守る縁の下の力持ちと言った役割を持つ仕事で、年収も500万円以上が見込めます。医療資格を持っていて営業に興味のある人であれば、転職先の候補に加えてみてはいかがでしょうか。